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ジリジリと、今にも一触即発といった空気の中、
「――フェルナード、もうよいか?」
凛としたそんな声が聞こえてきたかと思えば、
フゥワァ~~……。
目もあやな星屑を散りばめたような腰の辺りまで流れる金髪を揺らし、またしてもこの場に似つかわしくない絶世の美少女の登場ときたもんだ。
とはいえ、綺麗なだけの女ならそれなりに見てきた俺だったが、何より印象的だったのがその瞳だ。美しさの中に気高さ、そして強さをも秘めているかのような赤尖晶の瞳――。
更には、あの兄ちゃん以上の、これまたおっそろしく精巧な作りの鎧を着こんでるわけなんだが、その割には実用性までをも計算しつくされたかのような完璧な作りをしていて……。
正直、こんな鎧、一体幾らぐらいするのか皆目見当もつかねーや……。
しかもあの兄ちゃんと違って、ソレを嫌みなく見事に着こなしているあたりがなんともはや……。
今の今まで殺気立ってた酔っ払い共までもが揃いも揃って謎の美少女にすっかり見惚れてやがるときたもんだ。
ったく、男ってヤツぁ……。ホント、どいつもこいつも単純な生きもんだよなぁ~。
と、この姉ちゃんの登場に合わせるかのように畏まった様子ですぐ近くに控えていた兄ちゃんが又しても咆えていく。
「――控えんか、無礼者どもがっ‼ このお方をどなたと心得る!?」
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