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一陣の熱風が吹いた。
その暑苦しい空気があたしの喉に絡まりつく。
さっき水を飲んだ筈なのにもう喉はカラカラだ。
「ケホ、ケホ」
口元まで巻きつけたストールの隙間から砂埃が喉に入る。
ああ、もう。涙が出るほど痛い。
「キーナ、もう少しの辛抱だ。ゴホ、ゴホ」
あたしの右腕を掴んでパパは言った。
今は振り払う力がないのが恨めしい。
あたし達はまだ原型をとどめている空き家を見つけると、体当たりしてドアを壊そうとした。
(駄目、開かない)
「キーナ、退いて」
パパは銃を取り出した。
あたしが飛び退いてすぐ、貴重な弾は発射され、開いた穴から手を伸ばして内側から解除する。
あたし達は家に入るとすぐにドアを閉めた。
急にシンと静かになる世界。
取り敢えずもう、あの轟々と鳴り響く砂嵐の中に身を置かなくていいかと思うとホッとする。
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