第12話 脳内思考の一日

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第12話 脳内思考の一日

 異世界『エニワン』の世界観の話です。  スルーして頂いても、物語には影響ありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  う~ん、暇だ。  早寝早起きをしようと思ったが、特に予定もないのに早く起きる気にもならず。  やぱり人間『〇〇をしないといけない』という、義務感がないとやる気がね~。  特に『仕事が趣味です!』という人以外は、それなりにお金が入ったらガツガツしたくないと思うはず。  会社に勤めているのなら、生活に余裕が出来ても辞めることはしないけど。  お金のたくさんある人はお金が目減りするのが怖くて『もっとお金が欲しい!』と、どん欲になり仕事に励む人も居るだろうけど。  なんせ俺、自営業だから今は金銭的に余裕があるし。  この世界は無いものだらけ。  例えば食生活。  肉自体が畜産をしておらず供給が不安定だ。  冒険者ギルドのハンターが仕留めた魔獣や魔物の肉が毎日、店頭に並ぶ。  ではハンターは毎日、街の人口を補えるくらい魔獣・魔物を仕留め供給することができるのか?⇒出来るわけがない。そんなに魔獣や魔物がいたら街を囲むくらい居ることになり、怖くて外にも出れない。だから肉は高級品になる。  しかも調味料や香辛料も他国からの輸入になり、高額でましてや味噌や醤油、ソースなども無い。  調味料の代わりに柑橘系の果物を絞ってかけるくらいだ。  野菜は生で食べる習慣がなく、炒めるか茹でる調理がほとんど。  ドレッシングがないため、生野菜オンリーで食べたいとは思わないのだろう。  ドレッシングを作るにしても卵がいる。しかし卵は貴重品なのだ。  森に行けばラプタという卵を産む鳥がいると聞いた。  だがマヨネーズを作るためにどこにいるかも分からない鳥を探すのに、  魔獣がいる森に入り命の危険を冒してまでも作りたいとは思わない。  生野菜にドレッシングかけ、食べないといけない法律ができたのなら別だが。  畜産をすれば良いと思うがしておらず。  例えばやるにしても鳥小屋を作り捕え繁殖させ、鳥が食べる餌を調べ与え、数千羽飼えるようになるのに何年かかるのか?  畑仕事に使ってる牛のようなムッカという動物もいるらしいが、ムッカが歳をとったらつぶして農家が食べるくらいだそうだ。  増やして生ませて飼うという考えがないのだ。  なぜなら魔物に備え街は城門に囲まれているからだ。  街の中には畑はなく野菜・穀物は少し離れた各農村で栽培している。  農業は開拓を条件に街から離れたところに国から土地を貸り、畑を耕し村を作り国に税として穀物や野菜の一部を収め暮らす、それがこの国の農家だ。  街で暮らせない人達が農家をやっており万年、人不足で畜産をしている余裕はない。元々、農業や畜産は国が食糧確保のために率先してやることだと思うが。  野菜や穀物自体の収穫も少なく、まして人も足りないなんて。  収穫高が上がればそれを生かすために、新しい料理方法が生まれるだろう。  例えば油糧種子の多い穀物を圧搾(あっさく)し、油を絞り出し植物油にするとか。  ただ余裕のない今はしようなんて思わないんだろな。だから油も高額だし。  あ~、フライドポテトや唐揚げが食べたい。  人と物資に余裕ができて初めて新しいことが生まれるんだと思う。  今よりも美味しいものを食べたいから工夫し、楽をするために新しい機器が生まれ産業が発展し雇用が生まれ生活が安定すれば子供もたくさん生まれ安定した未来に繋がる、そして…。  カ~ン、カ~ン、カ~ン!  大聖堂の16時の鐘が鳴る。  い、いかん。  もう夕食の時間か。  今日はベッドの上でゴロゴロしながら、こんなことを考え一日が終わった。  明日は働こう、と日記に書いておこう。て、つけてないけど。  そう言えば支払い済みの宿代は今日の分までだから、一か月延長するか。  下に降りたら支払っておこう。  こうして異世界3日目は暮れてゆく…。
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