『笛吹きピエロが笑う屋根』

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【読者に嫌われる運命の最悪な主人公】  最初は温和だった主人公・晃希の過去の記憶が戻った時、彼は実は胸くそ悪い最低人間だということが発覚します。  その最低さ加減は、随所に出ています。いじめを楽しんでいるところ、恵理奈と別れた後にすぐ新しい彼女を作っていたところ、いじめを悪いことと思っておらず「逆恨みだ」と思っているところ……。主人公らしくなく、読者に嫌われるタイプです。ええ、私も嫌いです(笑)。  でも、これはわざと嫌われるような最悪人間にしているのです。なぜならこれは、主人公が破滅していくバッドエンドストーリー。非の打ち所のないキャラが破滅していくのは「可哀想」、「悲しい」という感情の方が印象に残ってしまうので、そこはこの物語には必要ないかなーと感じました。「ああ、恨まれることをしてたんだなコイツは」、「自業自得だな」って思われるような主人公にすることで、「いじめはしちゃダメよ」ってメッセージを伝えたかったという目的もあります。  彼のゲスさと愚かさは、ストーリーのラスト、死ぬ間際でも際立っています。これだけの恨まれる状況に陥りながらも、「天国でまた笑い合おうな」と、自分は天国へ行く人間だと思っているのです。罪の意識が皆無なのです。その直後にピエロの「地獄へ堕ちろ」という言葉。彼が滑稽であることを表現したかったのです……(伝わった?)。晃希くん、もちろん君は地獄行きだよ(笑)。反省しておいで。でも、生みの親としては、心が痛むところもあるよ。嫌われ役でごめんなさいね……。 【恨みを呪いへ】  晃希たちからのいじめに恨みを募らせ、いつしか復讐を心に誓うようになったピエロくん。いじめの首謀者だった晃希の家で命を捨てることが最大の嫌がらせになると思い、執念で彼の引越し先を調べました。  そしてそこには、「呪い計画」を実行する意図もありました。その呪いとは、「満月の夜に、呪い殺したい相手を思い浮かべながら命を断つ」というもの。呪いに成功した彼はピエロ姿の怨霊となり、満月の夜、恨んだ相手を自ら呪い殺していきます。吹いていた笛は、生きていた時に大切にしていたフルート。宝物を壊された恨みもこもっています。  最初にいじめっこたち本人でなく、その家族や大切な人が死んでいったのは、彼らを精神的に追い詰めてやろうという復讐の一つです。でも、家族や恋人は罪のない人たち。果たしてピエロのやっていることもどうなのか?……ですよね。どっちにしても、人を意図的に傷つけることは良くない。いじめは良くないけど、同じようなことをやり返したら、もはやいじめた人間と同じです。ただ、やり返したい気持ちはよくわかる……。  なーんて、色々それっぽいことを語っていますが、8000字の中でそこまで表現できてないので、そこが反省点でございます……はい。 【結論】  やっぱりホラーは難しい!(笑)  ホラーで読者を惹きつけることができる作家さんを尊敬します……!  このジャンルは、いつかまた気が向いたら挑戦します!
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