花筏

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「やけに、収まりの悪い棒だ」 オールにしていた鉄の棒を、 まるで子どもが飽きた玩具を投げるように捨ててしまいます。 ゆらゆら揺れる私は花びらの上に尻もちをついてしまいました。 「大丈夫かい?」 あなたが手を伸ばして、私を起こそうとするのに体が動きません。 そのうち、ずぶずぶと花筏から川中に沈んでいきます。 「あなた!」 私は恐れおののいて、叫びました。花筏はどんどん進んで、私を置いて行きます。 黒いぬめぬめした水に沈んでいく私は、苦しみもがきました。
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