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(中)男と女の小さな願い
男は考えたが、頼みごとは変えなかった。
「犬を飼いたい」
それだけだった。
女はハッとした表情を見せたが「それだけでいいのですね?」と尋ねた。
男は一人暮らしで家を留守にすることも多かったので、飼えなかったのだ。
女は丸いボールを手に取った。未来玉と女は呼んだ。
男の希望の未来をタイプし、確認を取ってから、自分でスイッチを押すよう促した。自分で責任を取る為だ。
男はためらわずに押した。ボールはブンと唸りを発し、空中で回転を始めると次第に薄くなっていき消えた。
「未来に行ったのです。未来を変える為に」
男は料金を払おうとしたが女は優しく拒絶した。
「いりません。貴方のような方は初めてです。私のような者でよければ、お付き合いをしていただけませんでしょうか?」
男は少し驚いたが女の真剣な目を見て「こちらこそ、付き合ってください」と応えた。
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