1000人が本棚に入れています
本棚に追加
騰は再度唇を重ねると、千夜の薄く開いた隙間をこじ開けるように舌をねじ込む。
微かな煙管の香りに、千夜は夢中になってそれを絡めた。
——タバコなど、好きではないのに。
騰らしい大人びた苦味が、千夜にはたまらなかった。
その上、騰が大切そうに千夜の青みがかった痣に唇を落とすものだから、嬉しくて嬉しくて、好きが止まらなくなってしまう。
千夜の滑らかな膨らみに、騰の骨張った掌が触れ、形を確認するように動く。
赤い舌が首筋を辿り、着いた突起で生き物のように動けば、千夜は爪先を尖らせ高い声を漏らした。
「……ったく、美味そうに成長しやがって」
「あ、ぅ……」
「声、我慢するんじゃねえぞ、出した方が一等感じる、お前も、俺もな……」
恥ずかしさに口を手で押さえようとした千夜を、騰が優しく制する。
騰は経験が豊富なこともあり、女性の扱い方をよく知っている。
今こそそれを発揮すべき時。どうせ抱くなら、泣くほど高めてやりたいのだ。
そうして右手を浴衣の裾から滑り込ませると、ようやくそこにも下着がないことに気がついた。
——ほう、なるほど、と。
千夜が自分に身を委ねる気だったのだと、確信した時の騰の表情のいやらしいこと。
「ずいぶんとヤる気満々じゃねえか」
からかうように言いながら笑う騰に、千夜は顔から火が出そうになった。
「そ、そういうことは言わないでえぇ」
「こっちも歓迎モードじゃねえか、そんなに俺に抱かれたかったのかよ」
愉快そうに身体の中心部を指先で突きながら言う騰に、千夜の背筋がぞくりぞくり、ざわめいた。
騰は昔からそうだった。
ちょっぴり意地悪で、そのくせ優しくて。
その繰り返しが、千夜を掴んで離さない。
夜の顔までそうならば、きっと癖になってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!