五、初恋の期限は永遠に有効です。

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 騰は再度唇を重ねると、千夜の薄く開いた隙間をこじ開けるように舌をねじ込む。  微かな煙管の香りに、千夜は夢中になってそれを絡めた。  ——タバコなど、好きではないのに。  騰らしい大人びた苦味が、千夜にはたまらなかった。  その上、騰が大切そうに千夜の青みがかった痣に唇を落とすものだから、嬉しくて嬉しくて、好きが止まらなくなってしまう。  千夜の滑らかな膨らみに、騰の骨張った掌が触れ、形を確認するように動く。  赤い舌が首筋を辿り、着いた突起で生き物のように動けば、千夜は爪先を尖らせ高い声を漏らした。   「……ったく、美味そうに成長しやがって」 「あ、ぅ……」 「声、我慢するんじゃねえぞ、出した方が一等感じる、お前も、俺もな……」  恥ずかしさに口を手で押さえようとした千夜を、騰が優しく制する。  騰は経験が豊富なこともあり、女性の扱い方をよく知っている。  今こそそれを発揮すべき時。どうせ抱くなら、泣くほど高めてやりたいのだ。  そうして右手を浴衣の裾から滑り込ませると、ようやくそこにも下着がないことに気がついた。  ——ほう、なるほど、と。  千夜が自分に身を委ねる気だったのだと、確信した時の騰の表情のいやらしいこと。 「ずいぶんとヤる気満々じゃねえか」  からかうように言いながら笑う騰に、千夜は顔から火が出そうになった。 「そ、そういうことは言わないでえぇ」 「こっちも歓迎モードじゃねえか、そんなに俺に抱かれたかったのかよ」  愉快そうに身体の中心部を指先で突きながら言う騰に、千夜の背筋がぞくりぞくり、ざわめいた。  騰は昔からそうだった。  ちょっぴり意地悪で、そのくせ優しくて。  その繰り返しが、千夜を掴んで離さない。  夜の顔までそうならば、きっと癖になってしまう。
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