残業

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残業

 Zさんが深夜、オフィスで残業をしていると、携帯電話が鳴り出した。  発信元は、このオフィス内だった。  ここにはZさんしか居ない……  Zさんは固まってしまった。  呼び出し音は直ぐに鳴り止み、オフィス内はしんと静まり返った。  物音ひとつしない。  ………………  Zさんは暫く微動だに出来なかった。  10分ほど経っただろうか、Zさんは勇気を出して体を動かし急いで帰り支度を始めた。  椅子から立ち上がろうとしたその時  両方の足首を掴まれた。  なんと机の下の床から、二本の白い腕が出ている。  置いていかないでと言わんばかりにZさんの足を離さない。  心臓が止まりそうになった瞬間  オフィスの電気がバチンと消えた。  …………  ……………………  静寂な真っ暗闇のなか、足首には変わらず冷たい感触がある。  「ーーーーーーーー」  突然廊下から声が聴こえてきた。  誰かが悲鳴を上げながら廊下を走っている。  声が近づいている。  「ぁーーーーーーーー」  オフィスのドアが開いた。  「ああああああああーーーー」
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