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オレンジ色の
小学校で教師をしているBさんがまだ新任だった頃。
夕方過ぎ、職員室で一人帰り支度をしていると、パタパタと廊下を走る子供の影が通り過ぎた。
とうに下校時間は過ぎているのでBさんは注意しようと子供を追いかけた。
廊下に出ると、その子供の後ろ姿は体育館の方の消えて行った。
仕方なくBさんは後を追いかけた。
不思議な事に、広く薄暗い体育館には子供の姿が無かった。
まあおそらく、用具室にでも隠れているのだろう。
そう思ったBさんは
「おーい、もう鍵閉めるぞー、朝までそうしてろよーお化けがでるぞー」
そう言って職員室に戻ろうとした。
すると後ろから突然ボールが跳ねる音が聞こえてきた。
振り向くと、体育館の中央でオレンジ色のバスケットボールが高くバウンドしている。
ポーンポーンと高く跳ねていた。
「遊ぶんじゃない、もう日が沈むぞ! 早く帰りなさい!」
Bさんは大声で叱った。
Bさんはしょうがないなと思いながら、片付けようと思いボールに近付いた。
両手でボールを掴むと、少し生暖かかった。
それはボールでなく、鬱血した子供の生首だった。
Bさんは驚いて悲鳴を上げ、大急ぎで職員室に戻った。
コートと鞄を取り、電気を消し、廊下に出ようと扉に手を掛けた瞬間
ポーン……ポーン……
廊下の向こうで先程のバウンド音が響いていた。
ポーン……ポーン……
ポーン……ポーン……
その音が、段々と大きくなっている。
まるで、Bさんを追いかけてきているように。
Bさんはギリギリで冷静さを保ち、職員室の窓から飛び出した。
翌朝、6年生の女子生徒が体育館のトイレで首を吊っているのが発見された。
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