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 夜10時過ぎ、ようやく仕事が終わり一人暮らしのアパートに帰った。  シャワーで頭を洗っていると、ふと妙な事を思い出した。  風呂場でだるまさんがころんだというフレーズが頭に浮かぶと霊が寄ってくる。  はあ、なんでこんな事を、よりにもよって今思い出してしまったのかと後悔をしながら、頭を洗っていると、目を開けられないという事もあってか、段々と怖くなってきた。  今、後ろに人の気配がするのは気のせいだろうか。  鏡に、自分以外の何かが映り込んではいないだろうか。  リビングのテレビが勝手についたりしないだろうか。  シャワーの音に混ざって笑い声が聞こえてこないだろうか。 …………………… ………… ……  頭を洗い流し、恐る恐る目を開け、風呂場を見渡す。  何もない。  空気も軽く、いつもと変わらない。  一人暮らしだと、突然不安に襲われた時、心細い。  さてそろそろ上がるかと、ふと浴槽に目をやると。  浴槽から真っ青な2本の腕がダラリと垂れている。  その腕が浴槽の縁に掴まりグッと腕を曲げた。  (誰かが出てくる!)  私は急いで浴室を飛び出した。  その夜は友人の家に泊まり、翌日、すぐに引っ越しをした。
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