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地元のスーパーに務めているAさんはある日、マネージャーに管理室に呼ばれた。
「この人怪しいよね」
そう言われて見せられた監視カメラには、食品棚の横で上半身だけを大きく左右にぐわんぐわんと揺らしている女性の後ろ姿が映っていた。
赤いワンピースに長い黒髪。そして狭いに通路にこれでもかと言う位に大きく揺れている。こんな目立つ動きをしているのに、周りにいるお客さんは誰も気に留めない。
「正面からの映像無いんですか?ほら、こっちの監視カメラに切り替えて」
Aさんは言葉を無くした。
満面の笑みの女性だった。
見開いた目と大きく開けた口は、楽しそうな笑顔というより、狂った人間の表情だった。
Aさんは固唾を飲み込み、女性の表情を注視しようと思い、カメラをズームにした。
背筋が凍った。
女性の目はこちらを向いている。
Aさんは驚いてモニターから離れ、その女の姿を確認しようと売り場に出た。
しかし、その女は居なかった。
社員もバイトも、そんな人は見ていないと言う。
Aさんは、初めてこの世のものでない者を見てしまった事に恐怖を覚えたが、仕事をしないワケにもいかず、持ち場に戻り作業を続けた。
しばらくして、またマネージャーに呼ばれた。
言われるがままに監視カメラの映像を見ると、先程の赤いワンピースの女性が、今度はレジの横で左右に大きく揺れている。
そこは、Aさんがさっきまで打っていたレジだった。
「お前の真横でずっとぐわんぐわん揺れていたよ。時々お前と重なりながらな」
Aさんはもっと早く教えてくれとマネージャーを責めたが、怖くて動けなかったんだと涙ながらに言われ返す言葉も無かった。
結局、Aさんはその日、一度も売り場に戻らず、デスクワークをして過ごした。
赤いワンピースの霊もそれからは一度も出なかった。
翌日、Aさんは常連のお客さんに言われた。
「夕べ電車でおんぶしてた人、彼女ですか?」
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