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入学式のあとには授業はなく、クラスメイトとの顔合わせのみのため、数時間後には帰路についた。
テラスにある椅子に腰掛けてため息をつく。
…分かっている。自分のなすべきことは。
おそらく、彼の…ジンの運命はあの子だ。
あの視線が全てを物語っている。
あのジンが一目惚れなんて少し笑ってしまうが、それはつまり、本気という事なんだろう。
覚悟を決めなければならない。
私は今から、悪役になる。
あの子のために、私のために。
ジンのために。
もしかしたら多くの人が敵になるかもしれない。
当たり前だ。
相手はあの特待生なのだから。
私は今から、アリスの悪役になる。
–––––ジンと"シド"の恋を成功させるために!!!
……あと、更なる高揚感のために
グッと、拳を握った。
そうして、アグニカ・エル・ウォーブルグの悪役令嬢生活が、今。幕を開けた。
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