逆境をはねのけろ、サイレンスアロー！

彼らの父、月光の逃亡者（２０１７年１１月 天皇賞の戦い）

　やがて準備運動が終わると、１枠１番のドドドドドドドドドが発馬機(ゲート)へと踏み込んだ。他の１１頭のライバルたちも険しい表情をしたまま、その様子を眺めている。
　この天皇賞に集まった馬たちは、誰しもが過酷なトレーニングに耐え、数々のレースを走りぬいてきた実力者である。
　彼らは騎手だけでなく、馬主、調教師やスタッフたち、大勢のファンの期待を一身に背負っているのだろう。目の前にいるドドドは手強いライバルだが、絶対に負けないという気迫を全身から漂わせている。
　ドドドのゲートインが終わると、次の馬も、さらに次の馬も落ち着いた様子でゲートに入っていく。さすがに選りすぐりの馬たちなので、進行を妨害するようなものはいない。
　全ての競走馬たちがゲート入りを成功させた。係員たちも駆け足で離れていく。

　天皇賞秋。格付けＧ１。東京競馬場開催。反時計回り。距離２０００メートル。
　１着賞金１憶５０００万円。１２頭。天候晴れ。芝の様子、良好。重量負担、３歳馬５６キログラム。４歳馬５８キログラム。牝馬２キログラム減。