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どちらつかずの気持ち。
わからないまま迎えたバレンタイン。
今日は火曜日。
仕事のあと帰った先は一人暮らしする家ではなく、実家だった。
「わぁ〜!お姉ちゃんありがとう〜」
純粋にチョコレートに喜ぶ中学生の弟。
いやいや、そんなに喜ばなくても彼の手元にはたくさんのチョコレート。
末っ子が通う、私達姉弟が卒業した公立中学校は、当たり前だけどチョコレートをバレンタインだからって持って行っては行けない。
下校後なら大丈夫って暗黙のルールが昔からある。
だから、女子は大変だ。
下校後に自転車で意中の子の家や義理チョコの相手の家を巡る。
当時の私は興味無いけど友達に付き合わされた思い出がある。
おいしいチョコを貰う約束で。
義理チョコ配達する子もいて、すぐ下の弟の時も、今私があげたチョコレートを喜ぶ末っ子にも義理や本気のチョコレートが届いた。
どちらにしてもその恩恵は私にもあったりしてチョコレートが好きな私には最高だ。
「なぁ〜お姉ちゃんは
慶さんにチョコ贈ったの?」
慶司……あぁ長瀬先輩とまだ交際してると
この末っ子含めて私の家族は思ってる。
別れた事実も、祐也さんとの事も、この家族には真実を一切伝えてない。
だけど……。
「うん 慶さんの好きなハートピーナッツ
箱買いして宅急便で贈ったよん〜」
おどけてみせて舌をペロッと出した。
私はまた嘘をつく。
本当の気持ちがわからない。
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