愛しい娘が「パパ。」と呼ぶ。

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彼女のお口から出てきた次のコトバを拝聴。 「等価交換。」 そのコトバは知ってます。かつてアニメやコミックや、そこらで割りとよく流行ってました。 (私個人的にも好きです。) まじレスしますとね、等価交換なるもの、それは実質的には存在しえない概念です、ていうのが私の持論で、そいつを語りだすと嫌われまくるだけなので今は語るのを辞めました。 そのかわりの一言。 僕の心臓が、君のほしいものと取り替えっこしてもらえる、そう言うことですかぁ? 「そうよ。パパ。」 …君のほしいものってなあに? 「………。」 あ、秘密なんですね。うーん。 じゃあさ、僕の心臓を取って、それからどうしますか? 「ベルゼブブに捧げる。」 うむむむむむむ。 要求されてることが、りあるな対応なのか、らのべな解釈なのかがわからない…。 私の記憶が正しければ、ベルゼブブは「蝿の王」です。 心臓とか欲しがるタイプだったかな。よく覚えてないな…。 確かにマイ強欲の壺とか20個くらい余裕で持ってそうだけどさ。 「ちょーだい。」 …ごめんなさい。 「ちょーだい。」 ダメです。ごめんなさい。 「…いいから、ちょーだい。」 いいくないですぅ。。。。 はああああああ…。 う、うわ。その はああ は、 疑問符の、はああああぁぁっっ??!かしら、それとも はあ あーーーーっ(ナントカ拳とかを繰り出す前の溜め)かしらんと死ぬ気でドキドキしたけども、単純な吐息でした。タメイキてやつ。 なんかグッタリガックリの乙女の溜め息そのもので。まあ見た目も乙女だけど。CAとかステージモデルそれもパリコレクラスのステキなガタイの乙女。 「わかった。…もういい。」 すくっと立ち上がられる。 もういい、と背中を向けての立ち去る気配。 ここで、お役に立てず実に申し訳ありませんでした、尊氏のご多幸をお祈り申し上げます、などのたもうて、さささっとお引き取りを促せばよいものを。 だのにっ! おっさんというものは、(可愛い)女の子に「帰る。」て言われると、後悔の煙玉がもわもわと昇り、全力で引き留めてしまうという呪われたサガをもってる。 これがすべてのおっさんがナカバウスラ自覚しつつ、みすみすけったいなトラップに自らずっぽりはまりこみ、時にマルハダカクラスでボッタクられてしまう遠因で要因で真因。 [チョット待ッテ……?] ああ、口から出てしまった禁断の呪文。 すると彼女は、 もちろん振り向く。 「だってくれないんでしょ?」 はい。申し訳ございません…。 「だからっ。もういい!」 あ、だから待って待って、そんなスタスタ行かないでっ! (言うなっ言うなっやめろっやめろっ、止めとけっ!) [ドウスルノ……?] ああああぁぁ、言ってしまった…。 「あたしの心臓を持ってく。」 うわあぁん…。 ほらやっぱり、こんなんじゃん…。 …そーだなー。ざっくり20年、や、30年ほど前だったら、 「だめだっ、そんなこと!…よし、おれがベルゼブブに話をつける!」 とかまっすぐヒーロー吠えして、両のおてて、ぐーで走り出したりさ、出来たかもしんないし、したかもだけとさ…。 無理だよぉ。も、ムリ。 でもちょっと待って。 …なんで俺の心臓でも良し、なの? 「…パパ!」 うわ。怒ってる〰〰、噴火?やめてやめてぇ。 もっかいぐいっとあのA4 サイズの紙が突きつけられた。 えーと…。んー、これ何語なんでしょ。アルファベットぽいけど…私のカンが正しければこれ、ロシア語じゃないかしら? ダメよ。ムリムリロシア語は。読めないし、理解できないし。エキサイトのでいいから翻訳プリーズ。 ぽこん。 …ぐーで殴られた。
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