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お嬢さんは納得いかない満タンの非常に不愉快そうな面持ち。
「ひどい、あたし、真剣なのに。」
確かに、君の望み、棚上げどころかただのダシ扱いにも思えてしまうよな。
「…グレてやろうか。」
ある意味、ごもっとも。
ものすごくごもっとも。
やっぱ、その望み、そもそもなんなの、そこからいきましょう。あなたの望みを検証しましょう。
大願成就、まずは王道突破を目指してみませんか?。
すると、ほぅっ…とタメイキ、乙女のタメ息。
「あのね、パパ。あたしね、」
うん、言ってみて、愛しい我が娘。
「赤ちゃんが産みたいの。」
…はい?
「産みたいの。」
おいくつでしたか…?
「14」
…マジレスしますが、お望み叶うには、しばしお時間待たれればよろし、ってハナシでございますよ?はい、それだけです。
最短で6年、父親的には10年後あたりに再考されるのが、丁度良さげか、と。そうそう、15年後でも全然遅くないぞ?
「産みたいの。」
……ですからですね、
産めますでしょうけれども、今はお奨めできません、て話でございます。
まずは、心身ともに健やかにお育ち頂いて、成人を迎えて、それからのハナシでございますっ!
これだけは、じぃは譲りませんし、譲れませんぞ!
「…ぶーーーっ!」
ふくれたお顔も可愛いなぁ、とつい見とれてしまうのだが、さすがの私も気が付いた。
そうだよな、おかしいぞ。
誰がどう解釈しても、結論は同じハズ。その望み叶えるには、まず、時が経つのを待ちなさい、だ。
私の麗しのベルゼブブの判断だって、そこらに落ち着くだろう。
何もワザワザ、俺の心臓持ってこい=俺を呼んでこい、なんて話に持っていく必要は、かけらもないはずだ。
はて…。
麗し愛しのベルゼブブの意図はなんだ……?
膨れっ面のお嬢さんの横顔にしばし見とれる。色白の透けるシルクの肌、端正な鼻筋、大きく憂う深い深い蒼の瞳、ああ、みればみるほど「ママ」そっくりだ…。うっとり…。
……あれ?
「ママ」そっくり…?。
それって、。
「…なんも、今すぐ産む!でなくってもいいんだけどさ、」
お口の中でモグモグ言ってる愛娘。
うむむむ。
ギモンがひとつ。ぷくぷくと沸き上がる。
あれだな。やはり。
ギモン、には、確認だ。
うん。そうしよう。
百聞は一見、黙視、触感、嗅覚。
そうだ、確認だ。
確認するぞっ!
さあ、娘よ!恥ずかしがるな。
その程度の畜生道、この父は何時でも突っ走れる!!
……。
瞬殺、を体験しました。
はい、いま、この瞬間です。
いま、私はその首を、両腿にがっつり挟み込まれて、脳天を床にぐいぐい食い込まされてます。
お稽古事は、ピアノとバレエと…システマとカポエラでしたか…?さすがに私のベルゼブブは抜け目ないです。。
確かに、瞬殺は最大の護身術です…。
あっ、首をそれ以上絞めないで、折れるから…。
「…パパッ!」
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
でもわかっちゃった。
「あーあぁ。」
お嬢のタメ息。セツナイ吐息。
きれいな太腿が緩められて、首は折られることなく、解放です。
切なさに揺れてるそのお胸てば、…大胸筋だよね。
そんでもってさ、そのサポーターの中のさ…、たぶんね、僕も同じの持ってるよ。
あ、形状とか大きさでなくてさ、それ用の用途を備えるツール、てゆっか、それ。
「はーぁぁ」
タメ息タメ息、だよねぇ。
でも君と僕は同じタイプだわ。パスホートの性別てとこに、決してFeを付けてもらえないタイプ。
「そーなんだよねぇ。」
愛しの娘はしみじみと遠い眼をする。
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