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いや、夢ではない。
実在している、現実だ。
多分。
手洗い場で手を洗い、水で顔をはたく。
「冷たっ!」
水は冷たかった。
やっぱり夢じゃないかも。
ドアを開け、トイレをでた。
「あ、リカちゃん体調大丈夫?なかなか戻って来なかったから心配してたんだよ」
店長がガラスの破片を拾いながら言った。
「すいません!あっ、だいぶ片付きましたね!」
「原田さんかがあんなことになっちゃったから、コウキ君に今日は夕方までお願いしたよ。人手が足りなくて困ってたから良かった」
***
「お疲れ様ですー」
ようやくバイトが終わり、更衣室に行く。
「やっと終わったー。今日は大変だったな」
そう呟き、ロッカーのドアを開けた。
今日はいろいろなことがあった。
エレナさんのことを考えたり、原田さんがああなった原因を考えたりと仕事に集中できなかった。
着替えを済ませ鞄を手にする。
ふとエレナさんの言葉を思い出す。
「あ、それから時計を絶対に装着して。そうじゃないと、またトラブルになっちゃう」
エレナの存在も疑わしいが、時計の存在も疑わしい。
実は全て夢で、何も無かったかもしれない。
そう思いながら鞄を開けた。
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