出会い

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「着いたよ~、秋保起きろ~っ!」 「はっ!」 私は寝ていたらしい。起こされて黙ってさっさと車から降り、玄関に向かった。後にくっついて来た雄作に向かって。 「何?お母さんに用?」 と不機嫌に聞いた。 「えっ?先生に今日のセミナーの話しさせてよぉ~」 「そっ!ご自由にどうぞ!」 私は家に入り部屋に行き、部屋着に着替えリビングに降りた。雄作は私になんか見向きもせず、お母さんにセミナーの話しを熱弁している。お母さんも興味深そうに聞いている。 冷蔵庫を開け、お母さんが何故かお守りと言っていつも入れてあるジンジャエール、その横にある冷茶をコップに入れ、テレビを点けた。 【それでは本日の特集です。出す本出す本ベストセラー、滅多にメディアに登場しないスペシャルゲスト。作家の桜庭庸介(さくらばようすけ)さんです】 「えっ?えぇぇぇぇっ!」 私は悲鳴にも似た奇声を上げてしまった。 「どうした!」 雄作とお母さんがこちらを見た。 「ゆゆゆうさくぅ、この人!」 画面を指差した。 「あっちゃぁ~っ!俺、一番尊敬する作家さんぶん殴っちゃった」 雄作がショックの雄叫び。 「そうなの?」 お母さんが驚いている。私は今日あった事をお母さんに話した。お母さんは笑いながら。 「大丈夫よ、そんな事で怒らないわよ。穏やかな人だもの」 「えっ?お母さん知ってるの?」 「うん、元教え子」 お母さんはその後お茶を入れ直すねと台所に行ってしまった。
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