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不思議そうに見ている私に雄作が。
「あっ、先生にいつも頼んでもらってる作品の添削。桜庭先生だったんだ」
「え~っ!じゃあ桜庭さんお母さんと連絡取り合ってたんですか? ならこんな待ち伏せっ…あっ!」
私は慌てて口を押さえた。
「えっ?待っててくれたの?」
「はい、お礼とお詫びをと思って…」
「それはありがとう。お母さんとは雄作君の原稿を郵便でやり取りしてるだけだから。ってか君達もう帰るの?」
「はい。中華料理食べて桜庭さんにも会えたんで」
「じゃあ送るよ。乗って」
桜庭さんは後部座席のドアを開けようとした。
「いやいや、そんな鴨川ですよ?遠いんで…」
雄作が遠慮して桜庭さんの手を制している。
「俺は今日の予定終わったし。先生にも久しぶりに御挨拶したいし」
私達は半分押しきられ、でも嬉しくて車に乗った。
桜庭さんは助手席に、私と雄作は後部座席に。私の席は桜庭さんの綺麗な目が見える席だった。
「二人ともよく横浜に来るの?」
桜庭さんは気さくに話しかけてくれた。
雄作が 頭をかきかき答えた。
「先週は秋保が中華料理って言うもんだから来たんですけど、あの騒ぎで」
「雄作!あんな騒ぎって雄作が遅れて来たからじゃない!」
少しむっとして雄作に文句を言うと。
「でも、おかげて二人に会えたし、先生にも久しぶりに会える。結果オーライだよ」
桜庭さんが私達のやり取りが可笑しかったのか笑いを堪えながら言ってくれた。
「はい!俺も嬉しいっす!桜庭先生に会えて」
二人が笑っているから私もつられて笑った。
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