現在と過去

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現在と過去

「中尉、ルーシー・メルトレイン小隊長!」 私は名前を呼ばれて返事をする。 呼んだのは私の小隊の軍曹だった。 私は今、最前線の偵察を終えて戻ってきたばかりだ。 出来ればシャワーを浴びてさっぱりしたいのだが。 「中尉、中隊長がお呼びです。すぐ隊長室へ向かって下さい」 「え〜。めんどくさいな。代わりにお前行ってこい」 「はいはい、20歳で前線にでて32歳で小隊長をわざわざ 続けている人の代わりになるなんて自分にはできません」 「ちっ、つれないな。分かった。お前代わりに点呼とって 解散させとけよ」 「Yes Ma’am(マム)」 私は武器や装備一式をロッカーや収納場所に置いて、 急いで中隊長室へと向かった。 「ルーシー・メルトレイン中尉参りました」 「入れ」 中から返事があり、警備兵がドアを開ける。 そこには叩き上げでのし上がった実力者がいた。 私は彼のデスクの側まで来て敬礼をする。 彼は端末を見ていた顔を上げて私を確認する。 そして客室を指さして 「行け」 とだけ言った。 私も何も言わずに敬礼すると客室へと足を運ぶ。 そこにいた警備兵が代わりに扉をノックし 扉を開けた。 するとそこにいたのは、スーツを着て 長い白髪を後ろで結んだ一人の中年男性だった。 「ドクター?お久しぶりです」 私は意外な人物との出会いに驚いたが、 それをのみ込み淡々と挨拶をした。 「ああ、ルーシー・メルトレイン、今は中尉だったね。 久しぶりだ」 「単刀直入に言います。貴方が研究所から わざわざこんな最前線に訪れたのは何故ですか。 検査はこの前終えたばかりのはずです」 するとドクターはにっこり笑って 「みつけちゃったんだ」 「は?」 相変わらず訳の分からない御仁であると 私は頭が痛くなった。
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