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ドクターは右手で頭をかきながら
「そうだね。こちらの落ち度だ。
君には申し訳ないと思っている」
「思うだけなら誰でもできますよね。
問題は、どうして特殊なミルクを与えられずに
その子が生き延びたということです」
「ああ、それなら簡単な事だよ。
その子の元になった君の卵子は
何も手を加えられていない状態の
素の卵子だったからさ」
「?私は遺伝子単位での持病の持ち主ですよ。
それなのに、治療をしない卵子を
カプセルの中にいれたのですか」
「それはカプセルがきちんと機能するか調べる為さ。
こう言ってはなんだがパターンを何種類か
作っておくのは研究者としては当然のことだからね。
あ、と気を悪くしたら済まないね」
「いえ、お気になさらず。
するとこの基地に駆け込んだ子は
私の遺伝子病が発病しているということですか」
「そういう事になるね。
だから研究所特性のミルクを飲まなくても
助かったともいえるのだけどね」
「不思議なのですが、どうしてこの国の子なのですか。
この山岳地帯の部族連合の国は
長年、覇権を狙う国の通り道、要衝の地として
狙われてきました。
その度にゲリラ戦をしかけて撤退させてきたわけで、
我が国も現在悩まされております。
それ故に、高度な医療技術も研究施設もありません。
それなのに、何故この国の子として
育てられていたのでしょうか」
私は疑問を口にした。
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