序章

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序章

「さ。お時間ですよ。アウル殿下」 「うん。わかってる。行こうか」  頭のてっぺんからつま先まで真っ白な装いのアウルは、片方の方にだけかけたケープの紐に触れた。そして、傍らにいたシャルロットを振り返る。 「どうかな?」 「大丈夫ですわ」  頷いて差し出した右手には、石の中に光の欠片を閉じ込めたような金色の指輪が光る。  小さく笑ったシャルロットの胸には同じ光を閉じ込めた石が揺れていた。   「……全く。貴方のその笑顔には振り回されてきましたけども。まさかお一人で結婚式をあげるなんて 思ってもいませんでしたよ」    呆れた声のアンドリューはドアを開けて二人を外へと促す。しゃらっと手首にはめたブレスレットにはアウルとシャルロットの石と色だけが違う石が光る。   「アンドリュー様。それは私たちが言ってはいけませんわ」 「十分わかっていますよ。これは言ってみれば単なるありふれた愚痴ってやつです」  そういって、アンドリューは少し足を速めて一番、先に立った。   「では、まいりましょう。アウル殿下。貴方の結婚式へ」
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