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暗闇のあとで
「うん?ここは、どこ?」
恐ろしい程の、暗闇が永遠と続いている
「真っ暗で、何も見えない!
夢でも、見てるの?」
上を向いて、寝ていた様だ
ゆっくり体を起こし、周りを見渡して見る
暗闇と恐怖が体を包み込むだけで何も見えない
目にナイフを向けられても、気づかない程だ
「怖い!どうしょう
震えが止まらない!」
手探りしながら 何とか立ち上がり
大声で叫んでみる
「誰か 誰かいませんか?助けてぇ」
自分の声だけが大きく響き渡り、暗闇の中に
こだまする
「ひっ!怖い」
思わず 耳を塞いだ
「何なの?一体ここは、何処なの?」
両手で周りを探っても、手には何も当たらない
足元に何かが当たった
何かの棒のようだ
私は震える手でその棒を両手で握りしめ
あちらこちらに、振り回してみた
何も当たらない......
「そうだ!スマホの明かりで少しは見えるかも」
自分の足元を手探りし、スマホを探してみた
その時だった
「痛っ!えっ!裸足?靴履いてない!
スマホもバックすら無い!
スマホは手離した事ないのに、何でぇ
一体何が起きたって言うのよ!
こんな暗闇があるなんて、ありえない
信じられない もう、嫌だぁ」
頭を抱え込み髪の毛をギュッと掴み
怒りと恐怖で涙が溢れた
暫くしゃがみ込み、じっとして動けなかった
気持ち落ちを着かせ大きく深呼吸した
スクっと立ち上がった
「何とか、ここを出なくては!頑張れ 私!」
暗闇がドンドン迫って来るような中を、1歩足を
進めてみた
ガサッ!
自分足音だけが響く、誰かに追われているような
気がして来る
音がする度、後ろを振り返るが当然誰もいない
又、1歩、ガサッ!ガサッ!ガサッ!
とにかく、前であろうと思う方に進んでみた
道が、でこぼこで歩き難い
裸足で痛くても、進むしかない......
棒を振りながら又1歩、ガサッ!ガサッ!ガサッ
どこまで行っても、暗闇から逃れられない
「どうすればいいのよ!いったい、何なのよ!」
自分に言い聞かせ、気を落ち着かせる
大きく深呼吸した
「大丈夫、大丈夫よ、頑張れ私!」
どれ程 歩いたのだろう.....
足が痛くて血が滲んでるのか、歩けなくなり
その場にしゃがみこんだ
「この暗闇からは 二度と逃れる事は出来ないんだ
もう ダメ....だ.....」
暗闇から出る事を諦め 疲れ切った私は
崩れるように倒れ気を失った
『彩〜彩〜』
何処からか、母が私を呼んでいる声がした
「 なんだ夢か、はーい 今起きるよ母さん」
ぼんやりしながら目を開けた
やはり暗闇の中だった
「嘘!夢じゃない暗闇じゃん
今の声は母さんだったけど 今のが夢か」
かなり、眠っていたようだ
ゆっくり体を起こしたその時気づいた
「ん?..風?...風!!」
微かに、風が私の顔を撫でている
「外に近づいているんだ!」
最後の力を振り絞り立ち上がった
良く目を凝らして 暗闇の先を見る
遠くに小さな豆粒程の光が 微かに見える
「光!光が見える!
あの光をを目指して行けば外に出られる!」
棒を振り回しながら 必死で走った
何処迄も続く暗闇の中を、小さな光を目指して
走りに走った
だんだんと 光が近づいてくる
「やっと、この暗闇から逃れられる!」
涙で光が滲む、必死で走る
後、数歩の所で立ち止まった
「うっ眩しい!暫く目を慣らしてからでないと
あの暗闇からいきなり出れば、目をやられるわ
落ち着け私!」
目を閉じてゆっくり目を開け 足を進めた
「外だ!出られたんだぁ 良かった〜」
飛び上がって喜び、両手を広げいい空気を
思い切り吸いこんだ
「ふぅいい空気、気持ちいい〜」
見た事も無い景色でだった
滝が流れ森に囲まれた なんて美しい所だろう
鳥は飛び、木々がそよ風に吹かれ
私の頬を撫でていく
「なんて、心地いい所なんだろう
生きてるって最高!
あの光は、お日様だったんだぁ」
安堵感に浸りながら、川の水を飲もうとした時
握った棒を見て声をあげた
「ひいっ!じ、人骨?!」
思わず遠くへ、掘り投げた
すると、その骨はハラハラと崩れ落ち
粉になり そよ風と共に消えて行った
「ずっと、あの骨を振り回してたんだ
気持ち悪いとは思いつつ、ここ迄来れたのも
あの骨のおかげで、大した怪我もせず
来れたんだよね
誰の骨かは分からないけど、ありがとう骨さん」
手を川の水でゴシゴシ洗い、顔も洗った
「ああ 気持ちいい〜スッキリした」
足は傷だらけだった
裸足であれだけ歩き回れば当然の結果だ
足を洗うとしみて痛かったが今迄の事を考えるとこれ位なんて事無いと思った
何故か服にも、血がついていた
「あれ?何処で付いたんだろう」
頭を傾げながら ついた血を洗った
「どこかで座った時に、ついたのかな?
でも、本当に綺麗な所ねぇ
両親とよくキヤンプに行ったっけ
楽しかったなぁ
今度、みんなで来たいな
パパ達もきっと喜びそう、うふっ」
そんな事を考えながら大きな岩に凭れ、景色を
見ていた
「そろそろ、誰かを探さないと!
早く帰らないと ママ達がきっと心配してるわ」
私は立ち上がって歩き出した
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