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そういうのをくだらない、だめなものだって決めつける人たちも、いる。
ケストナーおじさんが続ける。
「おそらく、ここ栞町に、特に強く本を憎んでいる人がいるんだろう。その気持ちが炎となり、ブーフシュテルンを燃やすためにメルヒェンガルテンに現れた。今は炎はメルヒェンガルテンに収まり、ブーフシュテルンを焼いたにとどまっているが、いずれは地球に飛び火してしまうだろう」
「地球に飛び火?!」
「そしたら、どうなるんですか」
わたしとももちゃんの問いにケストナーおじさんは答えた。
「誰かをターゲットにしてとりつき、今もなお地球に残っているすばらしい本たちを焼かせるかもしれない」
わたしはあっと声をあげた。
「どうしたの? 夢」
「お父さん……」
わたしを殴ったときの、お父さんの目。
赤い火みたいなものが見えたっけ。
「その、本を憎んでる誰かって、お父さんかも」
頷いたのはモンゴメリさん。
「その可能性は高いわね。本のよさを理解せず、目に見えて役に立つものだけがよいものとする考えにとりつかれた人からは炎が発生しやすいの」
ももちゃんが寒気がするみたいに両腕をかかえた。
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