23 星降る緊急会議

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 ……え?  どういうこと? 「本焼く炎という、少し特殊な炎でね。本だけを焼く炎がある。もちろん、本の命、ブーフシュテルンでできたメルヒェンガルテンも、燃やす対象となる。本は役に立たないとする人間の心が創り出した炎で、昔ヨーロッパでも日本でも実際にたくさんの本を焼いてきた。かつては本を焼くことを『払い清め』と呼んでいた時代もあるくらいなんだ」  わたしとももちゃんはあんまりな事実になにも言えなかった。  星崎さんが言ってた。ケストナーおじさんの本も焼かれたことがあるって。  ケストナーおじさんがつらそうにしているのを見てとって、モンゴメリさんがさきをつけたしてくれる。 「一つのことが絶対に正しいと考えて、他のいろいろな考えを認めない気持ち。特に、戦争で相手国に勝つこととか、目に見える成果だけに取りつかれると危険ね。様々な考えが書かれた本を目の敵にしやすくなる。よい物語は、勝つことにこだわっている社会が持っていないものを拾い集めて作られているから」  むずかしいことだけど、わかる気がした。  本を読んでわくわくする気持ち、ほっとする気持ち、感動する気持ち。
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