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「……みりの目の中にも見えた。赤い火」
「そうだ。もしかしたら白石さんも、本焼く炎にとりつかれちゃってるのかも」
「助けなきゃ」
わたしは震えるももちゃんの手を握って力強くうなずく。
モンゴメリさんが説明を続ける。
「本焼く炎は、反対に本の尊さを知っている人ほど避けて通る傾向があるんだけれど、今回現れた炎はあまりにも強い。普段本を大切にしている人を僕にするのも時間の問題ね」
わたしとももちゃんはきっと今同じことを考えてる。
本を読みなさいって言ってた校長先生ですら、ブックトークなんて必要ないって考えになっちゃってたんだ。
炎はもうすぐそこまで来てる。
「なんとか、火を消す方法はないんですか?」
わたしが言ったけど、みんな黙り込んでしまった。
一言、ケストナーおじさんが呟いた。
「本焼く炎にとりつかれた人間の威力は恐ろしい」
薄々、わかってた。
本を焼いたナチスは、当時ドイツですごい力を持ってたんだって。
膝が、震えた。
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