20人が本棚に入れています
本棚に追加
アンティーク調のゴージャスな椅子に浅く腰掛け、すらりとした足をテーブルの上に組み上げて、アイマスクをしながら眠っているこの男の名はポペシャン。
ゴシックパンクのオーダースーツに、暗黒色の白衣を着崩している風体は、まるで無法地帯の闇医者を連想させるようだ。
こんな怪しげな風采をしたポペシャンであるが、ここグラトニーズと呼ばれる宇宙ステーションの主である。
ステーションとは言うものの、どの国家にも属さない未確認の存在で、運用を終えた衛星などの宇宙ゴミと共に、衛星軌道上に浮かんでいるだけの秘密基地のようなものだった。
そこは古惚けた洋室のプレハブを、幾つも連結したような建物で、不思議なことに地球と同じ重力が働いてる。
そのため、窓の外に宇宙が広がっていることを除けば、地上の家屋で暮らしているのと変わりは無かった。
そんな天空の隠れ家では今、緊迫した空気が張り詰められていた。
最初のコメントを投稿しよう!