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プロローグ 戦闘乙女!美舞☆やっちゃった小四
「はああ……! 止めなさい!」
三浦美舞は、一人徳川学園小学部から帰っているところだった。
四年生でも黄色い帽子なので、よく分かる。
四月の花冷えもする頃だ。
公園の前が通学路になっており、変態と呼ばれているオジサンが、友達を苛めているのを見掛けたものだから大変だ。
無論、闘いを挑むしかない。
「僕は、変態を許しません」
美舞は、日独ハーフで、ぬばたまの黒い瞳と碧眼とのヘテロクロミアを持つ。
徳川小の校帽に、黒の髪を二つに結っていた。
グレーのボーダーTシャツにジーンズも似合う。
ランドセルは、ベンチに置き、ぱっぱっと手を叩く。
かなり小柄だが、どんな敵にもお構いなしと正義の表情で敵と対峙する姿勢だ。
「何をですか? 何もしていないので、この赤ちゃんみたいな手で腕を捻るの止めてくれませんか? ちょっと痛いでーす」
新聞越しに四十歳位のオジサンが、からかって来た。
「パンツを穿かないオジサンは、悪い人です。僕のパバが、言っていました。コートを着てしまいなさい!」
腕をもっと捻ってやった。
「やっだよ」
バカな奴が、あかっんべーをして来た。
「何てことをするんだ。注意は、ここまでだよ。はああ……。もっと捻るよ! オジサン?」
美舞は、力を込める。
「口うぜえガキだな。ぶっこんじゃいましょうか?」
ダンッ。
公園のブランコに、美舞は腹を下にして押し付けられた。
ギイー。
ギイー。
ギイー。
軋むチェーンの音に、美舞はくらっと来たが、そこで折れるような小学生ではない。
「何!」
美舞は立ち上がったが、再びブランコは、重くなった。
「オジサン、血走っているけれども、ヤケで僕に勝てないからね」
ブランコごと美舞にのしかかって来た。
「バカヤロー! 俺様は菅田って言うんだよ。分かったか、こんクソガキ! 従えよ? あ?」
酒臭くはなかった。
シラフだ。
「ぶっこんじゃいましょうか?」
オジサン菅田、強気に出る。
「何を……? 何だか分からなくても、僕は、負けないよ」
ギイー。
ギイー。
「止め!」
美舞は、内臓が出そうだと思い、声を荒げた。
「いいや、止めないよ、オジサンは」
「や、止め、止めなさーい!」
美舞の心に火がついた!
パクアアアアアアア――ドンッドンッ。
凄い閃光が、美舞の左手にある五芒星の痣から出る。
ホウキ星の様に、シャーッと流れた。
キュイジーンジーン――ドンッドンッ。
右手の逆五芒星の痣からは、手当ての光りが出せた。
こんな奴だとは思っても火傷は治した。
ドサッ。
オジサンは、落ちた。
偶然、コートで、パンツの所が隠れていた。
「しまった! ウルフパパに怒られるなあ……。力を使っちゃった。まずいなあ……。マリアママは、黙るし……」
ビクビクして、帰宅した。
シャラン。
シャラン。
玄関が鳴り、帰宅を知らせる。
「ただいま帰りました。ごめんなさい」
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