9、恋人のオレら、同僚の俺ら

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9、恋人のオレら、同僚の俺ら

河本が体を起こし、オレの方に来て顔を近づけた。そしてキスしてくる。 「…それ、俺から言おうとしてたのに」 「嘘つけ」 オレが笑うと、ムッとした顔をしながら今度は首すじにキスをしてきた。 キス、と言うよりは舐めてきているような…ええと、ちょっとこれは… 「赤城さあ、さっき『検索した』って言ってたよね。何を検索してたの」 「…えっと、その…男同士のヤリ方」 「なるほど。じゃあ実践する?」 え、とオレは起き上がろうとしたが、河本はオレの体にまたがってきて起き上がれない。展開が早すぎないか?そして何でオレが、下? 「ちょっと、色々疑問点があるんだけど」 「こういうことはさっさとしておこうぜ、俺らの熱が冷めないうちにさ」 うわ、クサいセリフ。でも、オレはその言葉にドキドキしたんだ。そう、オレもこのまま、先に進みたいと思っていたから。 オレはまあ、それなりに経験はある。だけど男同士は初めてだ。 結局、リードするのは河本になり、オレは下で挿れられる方だ。 専門用語で言うなれば河本が『タチ』でオレは『ネコ』。 下着一枚になり、河本が上半身をまさぐる。首から胸元、臍のあたりを。 気持ちいい、というよりもくすぐったくて仕方ない。オレがモゾモゾしていると、河本の舌が不意に乳首を舐めた。 「ひゃっ!」 ビクッと体が揺れた。変な声が出たものだから、河本はニヤッと笑いそこばかり攻める。乳首なんて感じるとは思ってなかったのに、何だか気持ちいい。舐めながら乳首を指でつねてくる。 「んっ」 河本はオレの下着の中に手を入れてきて、大きくなったソレにゆっくりと触れてきた。さすがに恥ずかしくなってきて、オレは思わず顔を覆う。 チュクチュクと音が聞こえ、無意識のうちに腰が浮いてくる。人にしごいてもらうのって、こんなに気持ちいいんだ…ふいに河本が呟く。 「脱いで」 オレは素直に下着を脱ぐと、河本も下着を脱いだ。二人とも真っ裸になったけれどもう恥ずかしさより、先に進みたくて仕方なかった。 脱いだ後、また手が触れてきたので、続けてもらえるんだと身構えていたら… 「?!ちょっと…!」 突然、河本がオレのを口に含んだから、思わず声が出た。 河本はきっとフェラなんて、初めてのはずだ。それなのに、何の躊躇いもなく口に入れやがって…しかも、気持ちいい。 「ん、は…っ、ちょっと、やあ…」 口に含むだけじゃなく、舌で舐めたりつついたり、吸ったりと本当に初めてなのかと疑うくらい、気持ち良くて。 「や…んっ、んあ…きもち、い…」 オレはもう限界に近かった。も、これ以上は… ジュルッと河本が大きく吸ったとき、オレはもう我慢ができなくて… 「ヤバい、も、イクっ…!」 河本の口の中にたくさん、出してしまった。全てを受け止められず、唇の横からたらりと溢れていた。 ネットで検索したとき、初めて見てショックを受けた。 そりゃ男同士だと挿れるところなんて一つしかないのは分かっていたけど。こんなの無理、と正面怖かった。だけど、今は… 「う…」 河本がゆっくりと時間をかけて後ろを指でほぐしていく。動画で見たときにそんな広くなるもんかと思っていたけど… 「赤城、すげぇ」 「何がっ」 「指、三本入った」 「実況すんなっ」 ちゃんと、ほぐれるものなんだな… ハアハアと河本の荒い息遣いが、聞こえる。オレは四つん這いになった状況。後ろに河本が大きくなったアレをこすりつけている。 「…挿れるよ」 「お、おう」 ググッと入ってくるものに、オレは思わず声を出す。 「う…ぐっ、いて…」 「力抜いて」 河本の声も遠くに聞こえる。痛い、痛ぇよ、アホ! オレはシーツを強く握っていると上から河本が手を置いた。 「ゆっくりするから」 いつもにない優しい口調。ゆっくりと侵入していく間に、慣れてきたのか痛みは感じなくなってきた。むしろだんだんと気持ちよくなってくる。 「ん、 …はっ、あっ、あ…」 「く…」 オレが痛みを感じてないことに気付いたのか、河本の腰の動きが強くなる。 部屋の中にいやらしい音が響く。 「や…っ、あっ、あっ、すご…っ」 「気持ち、いい?」 河本の言葉に頷く。それを聞いて河本は一段と動きを早めていく。 そして後ろだけじゃなく前のオレの大きくなったそれを握る。 「ああっ!ばか、触んなあ…っ、んんっ」 前後からの刺激にオレはもうたまらなくなる。もう、だめだ。もう、イきたい…! 「ひ、っ…あああ、もう…出る…っ」 「おれ、も…っ、赤城…っ」 河本が力いっぱいに貫いた時、オレは体を大きく逸らした。 「イクっ!あああっ…!」 河本が中で出したのを感じながらオレもまた、シーツにそれをぶちまけた。
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