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だめだ、もう起きれない。
「赤城、大丈夫か?」
「無理…」
ぐったりとするオレの体をさすって河本は心配そうな声を出す。いやいや、でもこんなオレにしたのはお前だからな!
「初めてなのに、連続はないだろ…」
「ちょいまち、俺のせいだけじゃないからな。赤城だって」
「恥ずいからいうな!」
確かに気持ちよかったよ。オレも…『もっとして』って、言った気がするけど!
オレが布団に潜ると、上から河本が体重をかけて押さえつけてきた。
「お前なぁ…」
「ありがとな、赤城。俺を好きになってくれて」
突然、そんなことを言ってきたので、オレは河本の体を押しのける。布団から出ると河本の顔が目の前にあって、少しだけ、目が潤んでるようにも見えた。
もう、本当にこいつ…可愛いな。
「オレ、言ってなかったな。河本…好きだ」
河本の頬に手を伸ばす。その手をとって、河本はキスをする。ああやっぱり、クサイやつだな。でも、嫌いじゃない。
こうやってオレたちは同僚から恋人へと、変わった。
翌日。思っていたよりも腰へのダメージは大きくて、オレは腰をさすりながら歩いていた。一緒に出社した河本を睨むと、小さく手を合わせ、ゴメンと合図してきた。今度から連続するときは、翌日休みの日だけにしよう…。
大丈夫か、と局のいろんな人たちから声をかけられて『ストレッチした時に腰を痛めて』と何とか誤魔化していたんだけど。
誤魔化されなかったのが、白木だ。
スタッフルームに入る前に、白木に呼び止められた。
「おはようございます、赤城さん!」
いつも元気だけど、今日はまた一段と声がでかい。
「…はよ。なんかいいことあったのか?上機嫌だな」
「え、いいことあったのはお二人さんでしょ?やだなあもう、朝からそんな見せつけられるとは思わなかったです!」
白木にはきっと、バレているのだろう。オレらはそれ以上何も言えなくて、黙ってしまった。
「お腹壊すから、ゴム 忘れないようにしてくださいね、河本さん」
「おいこら!何でそっちに言う」
オレの言葉を聞いて、白木がニヤニヤ笑う。バラしてどうする…と、河本が呟きながらため息をついた。
「あ、そうそう、彼氏と仲直りしました」
白木が思い出したかのようにそう言う。そうか、一段と声がでかい理由はここにあったのか。そう言えばいつもより顔が明るい。
なんだかんだ言って、こいつは彼氏が好きなんだろうな。しかしどんな感じなんだろう。白木の彼氏って…
「よかったじゃん。また一緒に住むんだろ」
「はい。もう離しません。今朝もヤってきました!」
…お前はもう少し羞恥心を身につけろ!
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