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「さて、状況はどんな感じだ?」 警部が僕に事情を聞いてきた。 「はい、、、、、分かっている時点でも十二人もの男女が行方不明になっています。」 十二人。分かっている時点でという事はもっと増える可能性もある。 「しかもその中には警察官の小佐田ネムや暴力団、ジュれハらンHの幹部、桐光リンなども含まれています。」 僕は続けて言った。 「ジュれハらンHか、、、、確かめちゃくちゃ強い組織でしかもその幹部、、、、相当強いと予測できるな。でも、そいつに関してはどっかで野垂れ死んだ可能性だって十分あり得るだろう?」 「えぇ、しかしその他にも一般人が多々含まれており、現在彼らの関係を調べています。」 僕は報告をしていた。しかし、あまりにも情報が少ない。 「あぁ、関係をすぐに洗え。それと犯行声明は出ていないんだな?」 「はい、まったく。また、脅しなども来ていないようです。この件についてはマスコミはまだ気がついていないようですが、気づかれるのも時間の問題かと思います。」 マスコミが来ると、警部が動かざるを得ない状況になってしまう。 「分かった、私も詳しく調べる。」 警部はパソコンを開いた。 「しかしお前も災難だな。弟が巻き込まれるとは。」 僕は僅かに唇を噛んだ。 「えぇ、まだ警察になって日は浅いですが、、、、、アイラが巻き込まれるなんて思ってもみませんでした。」 僕の弟は菊池アイラという。彼もまた、誘拐されたのだと思う。 「はは、そんなもんだろ。私だって兄を亡くした身だしな。」 警部は兄を七年ほど前に事故で亡くしている。 「警部、、、、、、、、」 僕はなんて言っていいのか分からなかった。警部の事は信頼している。けれどその人を傷つけないようにカバーするのは新米の僕にはキツかった。 「気にすんなって、ほら報告は終わっただろう?お前も早く仕事に戻れ。」 「は、はい!」 ぶっきらぼうな警部に言われ、僕は慌ててそこを離れたのだった。 「霜花ナギサ、、、、はっ。まさか、三年前に見た名前をもう一度見ることになるとは。 あの時は何も教えてはくれなかったが、今度こそは全て話してもらうぞ。」 警部、そう呼ばれた女性は呟いたのだった。
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