第四章 真実一路! 目指せ御台所!

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「実はですな。大奥御台所を決める投票が先程終わりましてな。折を見て皆の前で公表するつもりであったが…… 偶然にも今回のかるた大会の優勝者と同じ方でして、その場を借りての公表とさせてもらう。皆の者! 異議のある者は今すぐその場で申し立てい!」 場を静寂が襲う。このかるた大会の優勝者はたった今瑠璃に決まった。 それと御台所の投票結果が同じ…… その事実は皆から言の葉を奪ったのだった。 その静寂を破るように泰明院ががなり立てる。 「ふ、ふざけるなぁ!」 将軍は泰明院の言の葉を無視し、次期御台所である女中の名を読み上げる。 「誰が誰に票を入れたと知られれば後の大奥にしこりが残る。よって、票数のみを発表させてもらう。まず、富士子一票」 それを聞いた瞬間に泰明院の顔が真っ青となり、懲りずにがなり立てる。 「どういうことじゃあ! 話が違うぞ!」 将軍はそれに構わずに続ける。 「お志摩、一票」 志摩が驚く。大奥内では御三の間などと言う単なる掃除役の女中でしか知られていない自分に何故に票が入ったのだろう。と、思わせる顔をしながら首を傾げる。 その瞬間、泰明院は膝を突き「どういうことだ…… どういうことだ……」と譫言のように震える口調で宣い出した。 「後の十六票、全てがお朱咲に入れられていた。ささ、お朱咲よ、余の横へ」 瑠璃は将軍の傍らに立たされた。瑠璃はと言うと、黒川政之進が入れていた一票の他十五人が自分に票を入れてくれていたことを本当に驚くのであった。 「そのような訳だ、お朱咲よ。本日を以て御中臈の任を解く。もう長局に帰らずとも良い。これからは御殿の御台所寝所で寝食をすなるが良いぞ」 「え…… あ…… 御意のままに」 「うむ、今日の御三の間をここへ」 前に出たのは志摩だった。御三の間と言う立場上、前御台所の由喜子の身の回りの世話をしていたため、将軍とは顔馴染みの関係である。ただ、由喜子逝去後は御台所関連の仕事は激減していたためにこうして直接顔を合わせるのは久しぶりのことであった。
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