暗闇での助け舟

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―ドッシーン。 身体が思い切り揺れる。 「うわぁ!? 隕石が落ちた!?」 身体中に衝撃が走る。 恐る恐る目を開けてみると、ベッドから滑り落ちるように転げていた。 「・・・あれ?」 どうやら自室のベッドから落ちてしまったらしい。 「何だ、夢か・・・。 え、夢・・・?」 夢だったのだから智光が明乃に痴漢をしたというのは現実ではないということだ。 ―――変な夢、だったな・・・。 ―――まさか智光くんがあんなことをするなんて思わなかったし、雪夜も助けてくれるなんて・・・。 これが夢だと分かると何故そのような夢を見たのかと考えてしまった。 ―――正夢になる、とかじゃないよね・・・? 考えていると携帯が鳴った。 電話に出るため携帯を見ようとした時、時刻も目に入り慌てた。 「ヤバい! 遅刻だぁー!!」 ―――え、何!? ―――本当に正夢になったの!? 夢を見ていた時と全く同じ状況に焦りを感じた。 スピーカーにして電話に出ながら急いで身支度をする。 「もしもし!?」 『おー、明乃? 今日はもう学校へ行ったのか?』 連絡をして来たのは予想通り雪夜だった。 「その逆! 遅刻しそうなの!!」 『ぁ!? 本当に鈍臭いな、お前』 その言葉にいつも通り言い返しそうになった。 だがグッと堪える。 「・・・ちょっと寝坊しちゃったの」 『は・・・』 そして雪夜もいつもと反応が違った。 「何よ?」 『いや・・・。 何だよ、その返し』 「何が?」 『いつもならもっと強く言い返してくるだろ』 「た、たまにはこういう日もあるの! 雪夜は今どこにいるの?」 『もうすぐ駅に着くけど』 「じゃあすぐに引き返して私を迎えにきて!」 『ッ、はぁ!? 何だよ突然!』 「嫌?」 『・・・嫌じゃ、ないけど』 「じゃあ待ってるから!」 支度をしてリビングへ向かった。 「お母さん、もう私行ってくる!」 「あら? 今日は『どうして起こしてくれなかったの!』って怒らないのね」 「もう何度も起こしてくれたんでしょ! 行ってきます!」 外へ出ると丁度こちらへ向かっている雪夜を発見した。 「雪夜!」 「おう。 遅刻しそうなのに元気だな」 「早く行こう!」 「なッ!?」 そう言って雪夜の手を取り走り出した。 そんな明乃の頬はかすかに赤らみ心臓は大きく弾んでいるのだった。                               -END-
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