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「えー、やだ」
「リョウシさん、こわーい」
子どもたちが口々に言いました。
「じゃあ、仲なおりだ」
お父さんにうながされ、ふたりは起き上がります。
「……ごめん」
「……わたしも、ごめんね」
それぞれがきちんとあやまると、
「よしよし。いい子だ」
お父さんはまんぞくそうに笑いました。
そんな三匹の姿を、お母さんぎつねはいとおしそうに見つめています。
そして、ふいにいたずらっぽくほほ笑んだかと思ったら、
「じゃあ、今度はみんなでおうちまできょうそうね。いい? うらみっこなしよ」
そう言って、楽しそうに走り出しました。
「あ、母さんずるいぞ」
「まって、わたしも行くー」
お母さんのあとに子どもたちが続き、
「よーし、負けないぞ」
子どもたちのあとにお父さんがつづいて、やがて見えなくなりました。
「……ふしぎなことも、あるもんだねぇ」
つぶやいたきつねのひとみから、ひとつぶのなみだがこぼれ落ちました。
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