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キーンコーンカーンコーン。
校舎に鳴り響く5時のチャイムを聞いて、佐倉はじめは部室のテーブルの上に広げていた学校の社会の宿題を片付けて、少しボロいけれどふかふかなソファから立ち上がった。
ここは『謎解き研究会』の部室だ。
と言っても、はじめ以外の唯一の部員だったまっつん、こと松岡風太郎が転校してしまった1ヶ月ほど前からは、殆どはじめが宿題をするためだけの自習部屋と化してしまっていて、このままいくと『謎解き研究会』は年度末には廃部になるのが決定的だった。
パチリと部室の電気を消して、下駄箱に向かう。
途中にある職員室の前で先生や生徒会からのお知らせなどが入っているレターボックスを開けた。上からサッカー部、野球部、バスケットボール部、と並ぶ中、最後の部のところに大きくバッテンして会と書き直された『謎解き研究会』用のボックスは一番下にある。
このボックスはそれほど頻繁に使われているわけではないのだけれど、変なところが真面目で、しかも突然の廃部を言い渡されるかも知れないとビクビクしている事もあり、はじめは一応毎日そのボックスを確認することにしていた。
「うん? なんだこれ?」
開けたボックスの中には、時々入っている生徒会会報でも、突然の廃部通告でもなく見たこともない怪しげなと黒い封筒が入っていた。
【怪盗Aからの挑戦状】
封筒に貼り付けられたその言葉は1文字1文字が新聞から切り取られたその文字らしく、アニメとかでよく見る怪文書みたいだ。
何だか不安になったはじめは辺りを見渡してみたけれど周りにその様子を見つめているような不審な人物は見つからない。
「うーん」
なんだか怪しげな封筒だけれど、一応中身を見るために開いてみよう。
はじめが恐る恐る開けたその封筒の中には何枚か同じ黒色の紙が入っている。
そっと一番上に入っていた紙を確認する。
その紙にはおそらくボールペンで書かれた、綺麗に整った字でおかしな文章が並んでいた。
【貴様は謎解きが得意だそうだな。ならば我輩が出す謎解きを見事解いてみよ。できなければお前の大事なものをいただく 怪盗A】
「なんだ……これ……?」
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