なまこな

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なまこな

「ほらぁ! 見て、見て、見て! ぬるぬるぅ……って! ぬめぬめぇ……って! この三列の菅足かな? それとも口周りの触手が素敵なのかな?! ねぇ、どう思う!?」 さて、どうしてボクの周りにはこうも不思議な(変な?)女の子ばかりが集まるのだろう。  じゃあ今日は、小学校近くの海岸で出会った女の子のお話。はじまり、はじまりー。 「あの……静かに海を眺めていたいのですが…」 「えぇ?! こんなにも愛くるしい『なまこちゃん』に興味がないですと!?」 一匹どうぞと言わんばかりに両手に持っている『なまこちゃん』と呼ばれるものをボクの顔に近付けてくる。  ――ヌメェ。  うぇ……気持ち……わ、わる……い……。あ、でも磯の香りがたっぷりするなー…。 「お、お気持ちだけで結構ですぅ!!」 ボクは…ボクは……海を眺めに来ただけなんだぞッ!! 「エンリョなさるな、若人よ!!」  ぐいぐい~……っと『なまこちゃん』も女の子も迫ってくるので、ボクは思わず後退する。そしたらそこは海なので……。 ――バッシャャャャャァン!! コケて、濡れた。ずぶ濡れだ。着替えなんて持ってきてないのに……。 「あ、ごめん! わたしの家スグそこだからお洋服貸すよ? ついでにご飯もどーぞ!!」 「いや、そこまでは……。ん。ねぇ、もしかしてご飯って……?」 ボクは女の子の両手に持っているものをぼんやりと眺めながら訊ねた。すると……。 「うん。『なまこちゃん』!」 「エンリョしときます……」 翌日、ボクは風邪をひきましたとさ。おしまい。
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