キラキラ

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 AM七時ジャスト。  日曜日だってのに。  つか、夏休みだってのに。  休日は早く起きてしまう。  あれか。  夏はドッキドキな恋愛イベントが起きそうだから、早起きしちゃうってやつか。  ははーん。  バカか。  高三だぞ。 「とりあえず…食うか」      #         #  新聞紙。  スクランブルエッグ。  リモコン。  今日から両親が一週間の出張だ。  この家に俺一人。  つまりはやりたい放題。  え、なにをって…。  そりゃあー…。  一日中グテーーっ、とか?  まぁ、いいや。 「これは普通に考えて三番だろ」  スクランブルエッグを頬張りながらテレビに話しかける。  ありきたりなクイズ番組。  使い古された問題達。  それでも観入るのは、夏だからだろう。  うん。  夏だから。  うん。  ――ヒマだ。  外へ行こうにもめんどくさい。  誰かと遊ぶのもめんどくさい。  あー。  あー。  こちら脳内。  メンドクサイ信号が攻めてきてます。  あー…だるい。  あー…つまんない。 「――ゲームしてもいい?」 「あー…どうぞー…」 ……――ッ!  誰だ?  まさか。  幽霊?  ははーん。  夏特有の雰囲気に幽霊が出てきちゃったってわけか。  バカか。  とりあえず、振り返る。  ――! 「なんで?」  眼に映るは一人の小さな女の子。  小学校低学年くらいの背丈で立っている。 「じゃあ一緒にやろ。パパ!」      #         #  風鈴の音。  ラムネのビン。  蝉の声。  すりぬける弱い風。  夏の日差し。  キラキラ。 「あの、えーっと…どちら様でしょうか?」
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