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第12話 帰還
「改めてお礼を言うわ、私はEランクパーティー『紅の乙女』のリーダーのオルガよ。そして狩人のルイディナ、魔術師のパメラよ」
「俺はエリアスです」
「凄いわ、エリアス君。あなたはソロなの?一人でバグベアを倒せるなんて」
「はい、一人です。この街に来たばかりで、知り合いもいませんので」
「エリアス君て、言葉使いが丁寧なのね。生まれが良いのかな、御貴族様かな?」
「いいえ、俺は村とも言えないような名もない場所で育ったんですよ。両親が他界したのを機に村の人から『外の世界を見た方がいい』と勧められてアレンの街に来たんです。まあ限られた土地を耕して生活してたから、俺一人ではとても耕せなかっただろうけど」
俺は生まれを聞かれた際に、用意しておいた言葉を言った。
(え、それって両親が他界されたのをきっかけに、村の人に土地を狙われ追い出されたって言うこと?可哀そうなエリアス君。お姉さんが守ってあげるからね)
「このバグベアはどうするの?こんな重いの運んでいけないわ」
「そうねパメラ。魔石と爪だけでも持って帰りたいわ」
「駄目よ、ルイディナ。このバグベアはエリアス君のものよ」
「それはそうだけど」
「それなら俺が運びましょう」
そう言って俺はストレージにバグベアを収納した。
「「「 えぇ~~~!! 」」」
「マジック・バッグ!しかもそんなに入るなんて、驚いたわ」
大物の魔物や魔獣を倒したときは、お金になる部分を持てるだけ持つか、一度街に帰り運び屋という専門の人に頼んで運んでもらうそうだ。
その場合は他の人に取られないように、魔物の側に誰かが残る必要がある。
(これだけ入るマジック・バッグを持っているなら、一生安泰だわ。これは『鴨葱』からの『玉輿 』よ。この少年はこのルイディナ様が頂くわ)
町に戻る道すがら3人と話した。
3人は同じ村の出身で成人を機に村を出て、アレンの街で冒険者になったそうだ。
だから魔物の討伐は得意ではなく、普段は魔獣を狩りそれを売って生計を立てているんだって。
今日も魔獣を探していたら、バグベアに出会ってしまったそうだ。
オルガさんの髪は赤色でショートでウェーブ 。
180cmくらいで剣士だけあって締まった体をしている人だ。
俺が170cmくらいだから、少し見上げて話す感じだ。
狩人のルイディナさんの髪は濃い藍色でミディアムでボブカット。
165cmくらいでさばさばした話し方をする人だ。
そして体のラインが奇麗で、出るとことは出ている人だ。
魔術師のパメラさんの髪は白銀色でロングでカール。
160cmくらいの小柄でローブを着た眠たそうな話し方をする人だ。
ロリっ子タイプでスタイルはローブを着ているので分からず。
それはベールに包まれており、男のロマンを掻き立てる。
ある意味、分からないのも良いものだ。
「そう言えばエリアス君の剣はどうしたの?鞘は下げてるのに剣が無いから」
「あぁ、それはあなたが気絶している間に剣は溶けたのよ。オルガ」
「え、溶けたってどういうことよ、ルイディナ」
「バグベアのお腹に剣を刺したら、剣が炎に包まれたのよ」
「魔法剣よ、ま・ほ・う・け・ん」
「パメラも何を言っているの?どういうこと、エリアス君」
「バグベアを倒す決定的な攻撃がなくて。炎の魔法で腹に刺した剣を、包んだら溶けたんです」
「付与したということ?」
「いいえ、包んだんです。こんな風に」
そう俺は言うと人差し指を炎の魔法で包んで見せた。
「す、凄いわ!!エリアスっち」(いつの間にエリアスっちに)
「どう凄いのパメラ」
「付与は魔力をそのものに流すの。例えば剣ならミスリルみたいに魔力が流れやすければいいけど、鋼の剣は流れにくいの。でも彼がやっているのは、その言葉通り包んでいるのよ。だから纏えるのて凄いことなの!」
「でも熱くないの?」
「えぇ、魔法の炎自体は熱くないですよ。自分の魔力ですから。ただバグベアのお腹に刺した剣に纏わせたときは剣自体が熱を帯びて熱かったですけど」
「本当に、熱くないの?確かに自分の魔力だから分かるけど。かと言ってファイヤーボールを自分に向けて撃つ気にはならないわ」
「それにバグベアの攻撃を素手で受け止めていたのよ~」
「え?素手で。そんな馬鹿なことが…」
「それは俺のスキルです。防御力はあるんです」
「スキルなら、それ以上は聞けないわね」
「ただ防げても攻撃力がないので、誰か攻撃専門の人が居れば良いなと思ってます」
(剣に魔法を纏わせる?す、凄いわ。こんな使い方があるなんて。それに攻撃を防ぐスキルなんて聞いたことがない。この人について行けば魔法の神髄が追求できるかもしれないわ。あ~興奮するわ)
「パ、パメラ、いったい何をやっているの?股に手を置いたりして、はしたないわ」
(街に帰ったら剣を買わないといけないな~)
「オルガさん。何か良い剣を知りませんか?丈夫な剣が欲しいけど」
「私もよく分からないけど、鋼の上はミスリルね。魔法も通りやすいから、エリアス君の使い方なら更に効果的だと思うわ」
「でも高いんでしょうね」
「えぇ、数百万はするわね」
「そうですか、鋼の肉厚の剣にしようと思います」
そんな、たわいのない話をしながら街に戻った。
その後、面倒なことになることも知らずに。
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