第13話 報酬

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第13話 報酬

 俺達4人は冒険者ギルドに戻ってきた。  バグベアは俺の手柄で良いとオルガさん達が言ってくれた。  俺担当の受付アリッサさんのところに並んだ。  俺の順番が来た。 「おかえりなさい。エリアス君。怪我はなかったかしら」 「はい、無事に帰りました」 「今日はどうだったの?薬草、それともゴブリン討伐かしら?」 「いや~実はバグベアがいまして」 「はっ?バグベア」 「はい、彼女達が襲われていたので、つい」 「襲われていた、つい」  アリッサさんの表情が変わった。 「それで怪我はなかったの?」 「えぇ、俺も彼女達も無事です」  そう言いながら俺はオルガさん達の方を振り向いた。 「エリアス君。あなたはギルドに登録して、まだ4日目の新人なんですよ」 「あ、はい」 「はいではありませ~~ん!!」  アリッサさんがとても怒っていた。 「いいですか、人を助けるのは良いことです。でもあなたが助かるとは限らないのですよ」 「はい、すみません」 「私達はたくさんの人を登録してきました。そしてたくさんの帰ってこない人を見ています。だから無茶をしないでくださいね」 「わ、分かりました」  アリッサさんは良い人だ。  俺のことをこんなに心配してくれるなんて。 「バグベアはまたマジック・バッグの中ですか?」 「そうです」 「では解体場で出しましょう」  そして俺とアリッサさんは解体場に移動した。 「おう、解体かい?アリッサさん」  50代のがっしりとした体つきの男の人が居た。 「えぇ、アンセルさん。バグベアだそうです」 「バグベアね、で、どこだい?」  パン、パン。  俺はバッグを叩いて見せた。 「あぁ、マジック・バッグかい」 「ここにだしていいんですか?」 「おう、いいぜ」  俺はバグベアをストレージから出した。  ドサッ! 「うっ!なんだいこりゃ」  (さば)きやすいようにお腹を上に向けて出したのだ。  それを見たアンセルさんとアリッサさんは顔をしかめた。 「いったいこれはなんだい?肉が焼けてやがる。ま、あとは解体してからだな」  俺とアリッサさんは解体場を出て受付に戻った。 「バグベアの他には、なにもなかったの?」 「はい、実はブルーベリーを採っていまして。ジャムでも作ろうかと」 「ブルーベリージャムね。いいわね」 「作ったらアリッサさんにも差し上げますね」 「「「まあ、ブルーベリージャムを作ってくれるの。嬉しい。待っているわ」」」  アリッサさんは小躍りして喜んでいた。  そんなにジャムが好きなのだろうか。  後ろを振り向くと『紅の乙女』のみんなも欲しいそうな顔をしている。  それほど女子はジャム好きが多いのか? 「お~い。バグベアの裁定ができたぞ」  解体場のアンセルさんが声をかけてきた。 「12万円だな。状態が悪くて肉は売り物にならないから、毛皮しか買取れないぞ。どうやったらあんな状態になるんだい。内臓は焼け鋼が中で溶け固まっているなんて、見たことがないぞ」 「それは俺のスキルなので言えません」 「スキルか。それなら仕方がないな」  スキルはその人独自の能力だ。  人にも言わないし、聞いても教えないのが普通だ。  だからスキルだと言えばそれで話が終わるのだ。 「では、ありがとうございました」  俺は受付を離れ『紅の乙女』のところに向かった。   「はい、これは君たちの分だ」 そう言って俺は9万円を渡した。 「状態が悪くて12万だったんだ。だから1人3万円だな」 「え、でもそれは悪い。ハイポーションを使ってもらい、剣も駄目にした」 「いいんだ、オルガさん。それは俺が勝手にしたことだから。気にしないでも」 「そ、それでも」 「はい、話はここまでにしましょう。ではこれで」  そう言って俺は冒険者ギルドを出ようとした。 「待ってくれ、エリアス君。どこに行くの」 「あぁオルガさん。武器屋です」 「それなら私も付き合おう」 「私もではなく、私達よ」 「そうだ~付き合うよ」  そして俺たちは武器屋に向かった。  行く途中でオルガさんに言われた。 「ねえエリアス君。あの冒険者ギルドの受付に、ブルーベリージャムをあげるの?」 「え?まあ、約束しましたから」 「それほどの付き合いなの?」 「まあ4日くらいですかね」 「じゃあ、私にはくれないの?」 「欲しいんですか?」 「も、もちろんよ」 「では作ったらオルガさんにもあげますね」 「ほ、ほんと!嬉しい~~!」  オルガさんは両手を胸の前で組み話している。 「わ、私は?」 「私もよ~」 「2人も欲しいの?」 「「「「 もちろんよ~!! 」」」」  そんなに甘いものに飢えているのか? 「じゃあ、3人共あげるよ」 「「「「 嬉しい~~!! 」」」」 「私が1番よ」   「いいえ、私よ」 「私は2番でいいから」  なぜか3人は順番の話をしている。  これはあれか?  渡す順番があるのか?  異世界は難しい。
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