第14話 剣作成依頼

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第14話 剣作成依頼

 俺はロングソードを購入した武器屋に『紅の乙女』のメンバーと来ている。  ドアを開けると、この前のドワーフさんがいた。 「よお、この前のあんちゃんかい。まさかもう剣が駄目になったとかは無いよな」 「俺はエリアスと言います。実はそのまさかです」  俺は鋼の塊をテーブルの上に置いた。 「エリアスか、それは悪かったな。なんじゃ、これは」 「元、剣です」 「こんなドロドロになるとは。いったい何をしたんだ」 「それは俺のスキルです」 「スキルじゃと」 「はい、ですが…」 「スキルなら言いたくはないだろうな。だが聞かなければ剣は作れんぞ」 「特注で作るほどお金はないですよ」 「なら、いくらなら出せる?」 「10万円がギリギリです」 「ならその金額で作ってやろう。このブルーノ様の名にかけてな」  そして俺は剣に炎を纏い温度を上げたら溶けた事を話した。  温度の高さによって色が変わり赤⇒黄⇒白⇒青と、温度が上がるに連れて色が変わる事を説明した。 「温度で色が変わるだと」 「はい、ではやって見せますね」  俺はそう言い手に炎を纏わせ、実際に炎の色の変化を見せた。 「いったい、なにをしてるんだ!」  と、逆に驚かれた。   「ほう、ではバグベアをやった時の色は一番熱い青色てことかい」 「はい、そうです。炎を纏うだけでは剣は溶けません。溶けたのはバグベアの内部で温度が上がり、炉のようになり溶けたのではないかと思います」 「そうか、なら纏うだけなら溶けないのだな」 「はい、そうです」 「では、振れる重さを測ろう。そこにある剣を振ってみろ」  シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ! 「ほほう、この前より腕力が上がっているじゃねえか。両手剣を片手で振るのか」  そう俺は両手剣を片手で振れるようになっていた。 「両手剣を片手剣にしてみるのも面白いな?」  俺は【スキル】世界の予備知識で武器を調べた。  そして作ってほしい武器が見つかった。 「ではこういう武器をお願いします」  その剣の名は『バスタード・ソード』。  ファンタジー系ではお馴染みの剣だ。  刺突と斬撃の両方が可能な刃を備え、握りは長く両手で力を込めて使う。  重量バランスを工夫すれば片手での斬撃も可能だ。  俺は剣の概要を言い片手剣にしたい事を伝えた。 「おもしれえ、このブルーノ様に作れない武器はないぜ」  そして材質についての話になった。   「半端なヒヒイロカネがある。それに鋼を混ぜてやる。そうすれば少しは耐熱作用や強度が上がるだろうて」 「ヒヒイロカネですって!」  オルガさんが驚く。 「高いのですか?」 「もちろんよ。ヒヒイロカネは幻の金属とも呼ばれているの」 「そんな高価なものを」 「まあ、ヒヒイロカネは半端な量だから気にするな。ナイフ1本も作れん」  そう言いながらブルーノさんは笑った。 「作るのに1週間はかかるな。それまでの間、これを貸してやる」  ブルーノさんはそう言うと両手持ちのクレイモアを渡してくれた。 「いいんですか?」 「あぁ、冒険者が剣がないなんて話にならないからな」 「ありがとうございます。大事に使います」 「手付に少し入れてくれれば良いから」 「特に使う当てもないので10万全部、払います」 「おう、そうかい。では…「私も払います「私も「私もだよ」  『紅の乙女』のメンバーの声がハモった。 「皆さん、そこまでして貰うわけには」 「もちろん、当然です…」 「いいえ、妻たるもの…」 「優しくしてね…」  何か変な声が聞こえたが…。  この世界の人は助けたことに対して、そこまで恩に感じてくれるのか?  なんて義理人情に厚い人達なんだ。  3人で6万円も出してくれたので、俺は4万円で済んだ。  助かりました。  帰るとき、ブルーノさんに「あんちゃんも大変だな」と、言われた。  なんのことだ?  そして俺達は武器屋を出た。 「では、これで。機会がありましたらまた会いましょう」 「エリアス君はどこに泊まっているの?」 「『なごみ亭』て宿屋です」 「そうなんだ。じゃあまたね!」 「さよなら」
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