第17話 鑑定サーチ

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第17話 鑑定サーチ

 あぁ、そう言えばアリッサさんに渡すものがあった。 「アリッサさん、これどうぞ」 「え、なあに?」 「お約束をしていたブルーベリージャムです」 〈〈〈〈〈 えっ、ブルーベリージャム!! 〉〉〉〉〉  その瞬間、全ての受付嬢の手が止まり、一斉に俺の方を向いた。  アリッサさんを見ると、なぜか勝ち誇ったドヤ顔をしている。  そして周りを見渡しながら、 「ジャムを頂けるのね。でも私、年上だし…。それに出会って間もないから」 (いったい、どうしたんだ?) 「こんな短時間で私に…。ここまでのアプローチを今まで、された事はなかったわ」 (・・・・・・・・?) 「こ、これではさすがに。あぁ堕ちてしまうわ、私」 (これは何か?突然、始まる一人芝居か?)  アリッサさんはジャムの入物を胸に抱きしめている。 「エリアス君。私達の分もあるのよね?」  オルガさんが横に居て聞いてきた。 「えぇ、もちろん。皆さんの分もありますから」 〈〈〈〈〈 えっ、他の人にもあげるの?? 〉〉〉〉〉  オルガさん達3人もなぜか腰に手を当て、自慢げに周りを見渡していた。 「では、行ってきます」  ギルドを出る時、コンラードさんと目が合い親指を立てられた。なんだ?  街を出てアスケルの森に向かっている。  ウィルムは比較的、湿った湿地帯にいるらしい。  討伐依頼も大変だ。  どこにいるのか分からない魔物を探すのだから。  ギルドを出てから3人の態度が、なにか変だ。  パメラさんなどは、歩いている時に腕を組んできた。  森の中ですけど、警戒しなくていいの?  歩いている時に胸が腕に当たってくる。  ロリッ子だけど意外とローブの下は良いものを持ってる。  そうだ試してみよう。 「ちょっと試したい事があるんだ。いいかな?」  俺はそう言って立ち黙った。 「試したい事?こんなところで?発情したの?どこの尻尾が当たっているの狼君」 (違うわい!誰が狼君だ) 「違います。魔物のウィルムを見つける方法です」 「ウィルムを見つける方法?」 「はい、ちょっと待ってくださいね」 【スキル・鑑定】発動  カスタマイズ開始・ ・ … … カスタマイズ完了!  俺は足元から前を向き遠くを見つめた。  うっ、目がチカチカする。 「ルイディナさん、パメラさんは後方を、オルガさんは前と左右をお願いします」 「どうしたのエリアス君」 「はい鑑定しながら歩いています」 「鑑定しながら?」 「俺は鑑定ができます。それを応用して視界に入ったものを鑑定しながら探します」 「はい??」 「どんな魔物も魔石を持っています。それのみを鑑定眼で探しているんです」 「なんか目が疲れそうだね」 「えぇ、それが難点です。それと魔石しか分かりませんから、警戒をお願いします」 「「「 分かった(わ) 」」」 ウィルムが居そうだと聞いた湿地帯に近づいてきた。 (いた、魔石の反応がある) 「止まってください。ウィルムかどうかは分かりませんが、魔石の反応があります」  俺とオルガさんは剣を抜き、ルイディナさんは弓の用意、パメラさんは魔法の呪文を唱えている。  俺は魔石の反応がある方向に進み、クレイモアを振りかぶった。  ドサッ!  何かに当たる感じがして、俺は飛びのいた。  そして腰ぐらいある藪の間から、俺の首回りくらいの太さがある蛇のような魔物が出てきた。  そしてオルガさんが首をはねる。  今回は皮採取のため、極力弓矢や魔法は使わず剣だけで倒すことにした。  ルイディナさんとパメラさんは周りを警戒し、イレギュラーな事があるまでは待機するように話してある。 「オルガさんあそこです!俺はこっちに行きます」  ドスッ!ドスッ! 「あぁ、ルイディナさんの方に行きましたよ」 「任せて!」  ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ! (こんなに魔物っているものなのか?凄いな)  それからしばらくして一休みした。 「なんか、思った以上にいますね。驚きましたよ」 「えぇ、私達も初めてなので何とも言えないけど」  それからもウィルムを狩り、11匹討伐したところで帰ることにした。  やはりパーティーは良い。  攻撃できる人数が多い方が効率が良いからだ。  今回のこの鑑定能力を『鑑定サーチ』と名付ける事にした。  時々、俺の事をジ~と見つめ動かなくなる、ウィルムが居たような気がした。  帰りはルイディナさんと腕を組み、うふふふふ。  ルイディナさんのちょっと、汗をかいた臭いがたまらなかった。  オルガさんも腕を組みたがったが、両腕だと連行されているようで断った。  ごめんよ。また今度ね。  筋肉質の胸も好きだよ。  そして冒険者ギルドに戻ってから、衝撃の事実を知るのであった。
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