第18話 お友達から

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第18話 お友達から

 俺達は魔獣ウィルムの討伐依頼を完了し、冒険者ギルドに戻った。  ドアが開くと今まで話していた人達が突然、静かになった。  どうしたんだ?  オルガさんはウィルムの討伐依頼が完了したことを伝えに、『紅の乙女』担当のコルネールさんの所に向かった。  俺は暇になり椅子に座って待っていると、コンラードさんとまた会った。 「ようエリアス」 「あっ、コンラードさん」 「どうだったい?」 「はい、ウィルムを11匹狩れました。やはりパーティーだと効率がいいです」 「11匹だと?普通はそんなに狩れない、まず見つけることが出来ないからな」 「そうなんですか」(やはり鑑定サーチは便利だな) 「もしかしたらウィルムは、みんなメスだったりしてな」 「なんですか、それは?」 「だってお前、女殺して言われてるぞ」 「えっ、どう言う事でしょうか?」 「今朝のジャムの話だよ」 「ジャム?」  コンラードさんが言うには、砂糖や果物は高級品だ。  更に加工した甘いものは価値がある。  役人に袖の下を渡す時も、お金以外なら甘いものが代わりになるくらいだ。  甘いものなら見つかっても、硬貨ではないから賄賂にならない。  そして異性にあげる場合は別の意味となる。  高価な甘いものをあげるという事は、愛の告白と同じだ。  高価な物を差し出し二人で甘い恋を囁こう、と言う意味だと言うのだ。    俺はみんなの前でアリッサさんに告白し、他に3人好きな人がいます、と宣言したのと同じだそうだ。 「いや~驚いたぜ。みんなの前でアリッサさんに、ジャムをあげるだけでも度胸がいるのに。その上、他に3人もあげるなんてさあ。4人もなんてこれからどれだけ、稼がないといけないんだ」 (そういう事なのか。まさか、そんなつもりはありませんでした!とも言えない) 「後は相手がその気持ちに、応えてくれるかだけどな」 (そうだ。告白だとしても相手にも選ぶ権利がある。振られる可能性もある訳だ)  アリッサさんの方を見ると、下を向いてしまった。  やはり嫌だったのか。  振られたなこれは。  告白する気はなかったけど、振られるのも嫌だな。 「エリアス君。ウィルムを出して」  オルガさんに呼ばれ、俺は解体場へ向かった。   「おう、またあんちゃんかい」 「アンセルさん、エリアスです」 「ああ、悪い悪い。で、今日はなんだい?」 「ウィルム11匹です」 「11匹か。ではここに出してくれ。査定が終わるまで、飲食コーナーで時間でも潰してくれよ」  受付の横のフロアは夜は酒場になっている。  昼間はまだやっていないので、査定が終わるまでそこで休める。  することもなく疲れたので甘いものが食べたくなった。  俺はストレージからビワを出し、『紅の乙女』のメンバーと食べていた。 「美味しい」 「甘いわ」 「幸せ」  ちらっと受付を見るとアリッサさんがこちらを見ている。  騒がしかったですか?  ごめんなさい。 「お~い。査定が終わったぞ」  解体場からアンセルさんが顔を出して言った。  受付に行くとコルネールさんが 「ウィルム11匹ですね。状態が良かったので39,000円です」  オルガさんが代表で受取った。  明日の依頼があれば探しておくか。  そう思い依頼書の所に行こうとした所、アリッサさんから声を掛けられた。 「エリアス君。私の分は…ゴニョゴニョゴニョ」 「はい?なんですか」 「「私の分はないんですか!」」 「あ、はい。イチジクならありますけど、それでいいですか?」 「はい。それでいいです」  俺はストレージから皿を出し、その上にイチジクを山盛りだしてやった。 「え、こんなにもらえるの!」 「ええ、また採ってきますから」 「私、街の外に出る事なんてないから」  普通、住人は街から出る事はない。  だから山の果物の山盛りなんて見る事なんてない。  甘味や糖分に飢えているのだ。 「季節ごとに森の果物は季節ごとに違うから、その都度たくさん採ってきますね」 「まあ、季節ごとに、私だけにたくさん…甘いものが…」 「ちょっと、何言ってるのかな。おばさん」  後ろを振り向くと『紅の乙女』のメンバーが居た。 「「「 おばさんですって! 」」」 「おばさんでしょ、だって」  パメラさん、毒舌だよ~。 「なによ、このロリッ子」 「ロリッ子ですって!今日なんてエリアスっちと腕を組んで歩いてたら、『ロリッ子だけど意外とローブの下は良いものを持ってる』、て言ってたわよ。そしてグイグイしたらエリアスっちは、エリアスっちは…い、言えないわ!」 「そうよ、エリアスはフェチ小僧なのよ。私も腕を組んで歩いてたら、『汗をかいた臭いがたまらない』、て呟いていたのを聞いたわ」 (や、やばい。口に出ていたのか。しかも2人に聞かれてた) 「私なんて腕も組めず、『ごめんよ。また今度ね』、て言われたのよ。ひどいわ~」  オルガさんが泣きつく。 「そんな、エリアス君。グイグイとグリグリてなに?そんなに胸が好きなの?」  アリッサさん、声がでかいですよ~。 「私達はもう一緒に暮らしているの。お早うから、おやすみまで一緒なんだから」 「ルイディナさん、それは同じ宿屋に泊まってるだけでしょう」 「エリアス君どうなの。この3人にもジャムをあげたんでしょう?」 「ええ、まあ」 「全員と付き合いたい、てことで良いのよね?」 「はい?」 「だから全員と付き合いたい、てことで良いのよね??」 「いいえ…「「「全員と付き合いたい、てことだよね」」」 「は、はい、そうです。でも嫌ですよね」(断ってくれ~!) 「喜んでお受けします。ただ知り合ってから日が浅いからお友達て事でいいかしら」 (受けるんかい!) 「「「 私達3人も喜んで 」」」 (君達もお友達だよね) 「「「「 宜しくお願いします。エリアス(君)(っち) 」」」」  こうして俺は4人と友達として付き合う事になった。  そうなったら念のため、アリッサさんを鑑定しておかないと。 【スキル・鑑定】簡略化発動  名前:アリッサ  種族:森妖精(エルフ)  年齢:250歳  性別:女  職業:魔術師  レベル:35 (ブッ~~!エルフて。外見は人と同じで耳は関係ないんだ。250歳か。確かにパメラさんの言ってた、おばさんは合っていたな。でも言えない、レベル35だし)  それにエルフの女性はファンタジーとは違い、体つきはスレンダーではなく肉感的だった。
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