第21話 生活の目途

1/1
前へ
/100ページ
次へ

第21話 生活の目途

 ライオンラビット13匹分の買取額が出たようだ。  俺は受付に向かい歩き出した。 「お待たせしました。どれも状態が良くて1匹2万円。全部で26万円よ」  おぉ~、凄い金額になった。  これで少しはお金に余裕ができるな。  みんなを心配させてしまった。  謝らないと。  俺の前には受付アリッサさん。  周りにはオルガさん、ルイディナさん、パメラさんが居る。 「今日はごめん。もう大丈夫だから、みんな心配をかけてごめんね」 「よかった。いつのもエリアス君だわ」 「ほんと、なにかあればいつでも言ってくれよ」  と、みんな喜んでくれた。 「でも、なにがあったの?良かったら教えてくれないかしら?」  と、アリッサさんが優しく言ってくれる。  俺は本当のことが言えず、森の中にみんなで入って果物を採っていたら、亡くなった家族のことを思い出した、と嘘をついた。 「エリアスっちは寂しんぼになった、てことだね~」  オルガさんに言われ、少し恥ずかしくなった。  ルイディナさん達に、からかわれる。 「寂しくなったら、いつでもお姉さんに言うんだぞ~。あははは!」 「でも、元気になって良かった」  アリッサさんにもお礼を言って俺達はギルドを出た。  そして今日はもう1件寄るところがある。  それは青果市場だ。  青果市場は繁華街の側にあり、飲食店の人が買い物に行きやすくなっている。  市場に入ると野菜や穀物が並び、果物はほんの僅かだ。    どこで買ってくれるのか分からない。  仕方ない、誰かに聞くか。  俺は売り場のところにいる、ちょっと体格のいいおばさんに声を掛けた。   ブルーベリー、さくらんぼ、イチジク、ビワを山ほど採った。   「すみません、果物はどこで買取してもらえるのでしょうか?」 「あぁ、果物の買取はここで、できるよ。なにを売りたいんだい?」 「ブルーベリー、さくらんぼ、イチジク、ビワです」 「ほう、今が旬の果物だね、どこにあるんだい」 「ここです」  と、俺はバッグを軽く叩いて見せた。 「マジック・バッグ持ちかい。ならここに出しておくれ」  俺は言われたテーブルに果物を出した。   「おぉ、こんなにかい!」  おばさんは、驚いていた。  ブルーベリー、さくらんぼ、イチジク、ビワは、バケツ一杯分くらいづつあった。 「これは、状態がとても良いね。まるで今、採ったみたいだよ」  おばさんは何やら考えてから言った。 「ブルーベリーは6千円。さくらんぼとビワで6千円。イチジクは4千円。全部で16,000円でどうだい?」 (う~ん。高いのか安いのかが分からない)  俺が悩んでいると、 「私の買取は高い方なんだけどね。じゃ、思い切って17,000円でどうだい?」 「エリアスっち、その金額で良いいよ~」  オルガさんに言われ、俺は納得した。  1日17,000円稼げた。  4人で割れば1人、4,250円。  この世界の平均日給が3,000円だから、冒険者をやらなくてもやっていける。  だが何かの時のために、貯えも必要だな。  果物採取メインで、魔物に合うこともあるので討伐、で良いかもしれない。  これでなんとか、生活の目途が付いたな。    また来ることを伝え俺は名前を名乗った。  おばさんはダニエラさんと言う名前だった。  買い取る値段は一律ではなく人によって変わるから、私に売るんだよて言われた。  たくさん採れるようなら、果物を売る商人でやっていけるかな。  そして宿屋に帰ろうと歩いていると、城門の鐘があわただしく鳴った。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

237人が本棚に入れています
本棚に追加