第28話 決着

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第28話 決着

 レッドキャップの斧は俺が収納した。  そしてゴブリンの過半数は逃げ始めている。  騎士団がレッドキャップ目掛けて群がる。  そしてそれは起こった。  ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!    ドンッ!ドバッ!!ドンッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ! 「ギャ~~!!」      「う、腕が..............」     「ぐぇ!」            「腹が、痛いよ~」         「痛てえ!!」        「はあ、はあ、はあ」           91a136b5-b3af-47d7-9f50-35238403fc23   「あ、あ、あ、」      たくさんの騎士団の苦痛の声が聞こえる。  俺達、冒険者は少し離れたところからそれを見ていた。 「な、なにをしている。奴は手負いだぞ。掛かれ!!」  そうナウム副長が叫んだ瞬間だった。 「げふっ!」  ナウム副長の胸から槍が生えた。  「ば、馬鹿な」  そう一言残し彼は絶命した。  レッドキャップは目が見えない。  だから音に反応しているんだ。  周りに落ちている武器を手探りで拾っている。  ガチャガチャ音を出しながら歩く、金属製の鎧を着た騎士団たち。  大きな音を出せば、格好の的になるだけだ。 「な、なにが起こったんだ」  冒険者達が声を出す。 「しっ、静かにしましょう。奴は音に反応してるんです」 「音?」 「そうです。目が見えない分、音を頼りに攻撃しているんです」  冒険者はレーザーアーマーを着ている。  だから鎧がすれる音は殆どしない。  後は静かに動かずに黙っていればいい。  ナウム副長が倒れ指示を出す人が居ない。  そのことを知らない騎士団は逃げ惑う人、立ち向かう人がいる。  どうやらバルタザール騎士団長は後方にいるようだ。  教えてあげたいが俺達が教えてあげるには、声を出さないといけない。  だがそれは出来ない。  だから俺達は黙って見ていることしかできない。  手近なところから襲っていくレッドキャップ。  さすがはレベル43。  まるで騎士など相手にならない。  弓兵は味方に当たるのを恐れ、弓矢を打つことが出来ない。  力任せに剣を振るうだけの魔物。  そしてレッドキャップは、俺達に近づいてきた。  俺達は何も言わず、動かず、じっとしている。  レッドキャップは前に進む。  傷だらけになりながら。  顔はただれ、目も焼かれて視界も見えない。  足を引きずり、それでも奴は前に進んで行く。    なぜ、そこまで?  グググググ、苦しそうに泣きながら。  レッドキャップは俺達の3mくらい前を横切る。  そして進む。  騎士団は取り囲んでいるだけで、手出しはしなくなった。  レッドキャップが動くと、動いた分だけ騎士団の囲んだ円も動く。  そして街に少しづつ近づいていく。  これでは決着がつかない。  奴は今、音をだすものに反応する。    MPの残りは55。  できるか俺?  レッドキャップは俺達を通り越して進んで行く。  5mくらい離れたところで、俺は魔力を貯める。  そして左手の指先に集め、発射した。  奴の引きずる足の太股を目掛けて。    〈〈〈〈〈 シュ--------------------------------------!!!〉〉〉〉〉  水を圧縮し0.1mmの細い水流にして噴射!!  高速・高密度の圧縮された水は、音速の3倍に達し対象物の制限がなく切断する。  ウオーターカッターの原理だ。  生活魔法の水を圧縮し、風魔法に乗せ噴射する。  ただ1つ難点があり、対象物が動いていると一瞬では切れないことだ。  だから足止めが出来れば。  「「「「「 ギャァ~~~~~~~~~~!! 」」」」」  太股の中心を貫通し、横に切り裂く。  ぐらっと足が折れレッドキャップが倒れる。  そして後ろを向いた倒れた奴の背中から、腰辺りを目掛け再び噴射する。  「「「「「 グギャァ~~~~!ギャァ~~!! 」」」」」  MP55⇒50⇒45⇒40⇒35⇒30  ストレージからマジックポーションを3本出して、すかさず飲む。  MP30⇒60⇒55⇒50⇒45⇒40⇒35⇒  「「「 グギャァ~~~~!ギャァ~~!!グギャァ~~!! 」」」  腰から内臓を貫通し、肺にかけて切り上げていく。  よほど苦しいのだろう。  レッドキャップの声が辺りに響く。  すまない、なぜか俺は謝った。  MP35⇒30⇒25⇒20⇒15⇒10⇒5⇒0  そして俺は意識を手放した。
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