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第29話 目覚め
どうしたんだ俺は?
どうやら寝ていたらしい。
たぶんここは俺が泊まっている宿屋だと思う。
部屋の作りがそうだから。
レッドキャップは倒せたのか?
そうでなければ街が無事なわけがない。
俺は起き上がった。
ギイ~。
ドアが開いた。
そこには疲れたような顔をしたオルガさんがいた。
「エリアス君。良かった、目が覚めたのね!!」
オルガさんは口を手で押さえ涙目になっている。
一体どのくらい俺は寝ていたんだ。
「どのくらい寝ていたのですか?」
「3日よ。エリアス君がここに運ばれてきた時は、大変だったんだから」
「3日ですか。そんなに寝ていたとは」
「魔力枯渇だったのよ。枯渇する前にマジックポーションを飲むか、その手前で止めておかないと意識が戻らないことだってあるんだから。そうなったら私....私..」
それからオルガさんは泣き出し、どうしていいのか分からなくなってしまった。
「あ~、エリアスっち。オルガを泣かしてる~」
「エリアス、目が覚めたのか。良かった」
パメラさん達も入ってきた。
「俺はあれから、どうしたのでしょうか」
「コンラードさんから聞いた話だけど…」
俺が魔力枯渇で倒れた後、レッドキャップも死んだそうだ。
ゴブリンも森に逃げたり、騎士団に討伐されて無事に終わった。
騎士団は700人中、約250人が死んだ。
冒険者たちの正面突破のおかげで、それでも被害は低いそうだ。
コンラードさん達、冒険者が俺を街まで運んでくれた。
こうして『なごみ亭』の、俺が借りている部屋に寝ているわけだ。
今回、参加した冒険者にはお金が出るようだ。
誰も欠けることがなく、冒険者が生還できた。
そして24人が目覚ましい活躍をしたこと。
ギルドではMiracle man(奇跡の人)の24人と言っているそうだ。
それに奇跡と言うわりには、24人もいるなんて多すぎ。
騎士団ではナウム副長の葬儀が盛大に行われたそうだ。
レッドキャップから冒険者を助けようとして、戦死したことになっているようだ。
実際は違うけどね。
騎士団も面子があり、美談がほしいのかもね。
ま、俺にはどうでもいい話だけど。
「エリアス君。体調が良くなったら、冒険者ギルドに顔を出した方がいいわ」
「そうだぞ、エリアスっち。アリッサさんが心配してたぞ」
「今回、一番の功労者はエリアスだからな。嫁としては嬉しいぞ」
なにか、聞いてはいけない声がした気がした。
「そうだね。起きたばかりだから、食事をしてから行ってくるよ」
俺がそう言うと3人は、気を使ってくれたのか部屋から出ていった。
さて、ステータスでも見ておくかな。
「ステータスオープン!」
名前:エリアス・ドラード・セルベルト
種族:人族
年齢:17歳(58歳)
性別:男
職業:防御魔法士
レベル:7→9
HP 80→95
MP 130→145
筋力 31→43
攻撃力 30→32
防御力 58→70
知力 67→81
器用さ 31→43
素早さ 53→65
運 61→73
EXP 40/130
状態:良好
【スキル】
生活魔法
火:LV2
水:LV1
氷:…
風:LV2
光:LV1
発展スキル火・風:Blue flame(青い炎):LV1
発展スキル水・風:ウオーターカッター:LV1
世界の予備知識:LV2
剣技:LV1
【ユニークスキル】
異世界言語
鑑定:LV2
発展スキル:鑑定サーチ:LV1
時空間魔法ストレージ(カスタマイズ可能):LV1
発展スキル:収納防御:LV1
発展スキル:confine(閉じ込める):LV1
【メンタルスキル】
沈着冷静:LV3
高速思考:LV3
魅力(人の心を引きつけ夢中にさせる力。発動しないこともある):LV3
発展スキル:ステータス補助:LV1
【加護】
女神ゼクシーの加護
愛し子
英雄の卵
お~。
レベルが2つ上がり、7から9になってる。
発展スキルが増えたな。
生活魔法も上がってる。
あれ『光』のレベルが上がってる?
夜は灯りの用の油を節約するため、ライトの魔法を使っているからか。
発展スキルが増えたな。
でも攻撃用の発展スキルは魔力消費が激しいし。
ステータス補助も自分の意思では、発動しない。
剣技もLV1だし。
もっと自分の意思で使えて、使いやすいスキルが欲しいな。
さて、3日も寝てたからお腹が空いた。
食事にするか。
宿屋の食堂に行くと『なごみ亭』の看板娘アンナちゃんがいた。
運び込まれて今まで寝ていた、俺のことを心配してくれた。
アンナちゃんの父親で調理人のビルさんに頼み、簡単な食事を作ってもらった。
その時ビルさんが「うちの娘はやらん」と、言っていた気がするが幻聴か?
部屋に戻り『紅の乙女』のメンバーに声を掛けた。
食事もしたので、これから冒険者ギルドに言ってくることを話した。
何か良い依頼があれば、受けてくることも伝えた。
「そう言えばエリアス君。今日で宿の契約は終わりよね?」
「ええ、そうですけどオルガさん」
「私達も同じだから継続しておくわね」
「じゃあ、お願いします。では行ってきます」
俺は宿泊している『なごみ亭』を出た。
『紅の乙女』のメンバーのお金は、オルガさんが管理している。
チームに仮加入してから俺のお金も、なぜかオルガさんが管理するようになった。
理由は『自分で管理すると無駄使いするから』だって。
確かに誰かに管理してもらうのも「あり」だよね。
そして俺は、なぜか小遣い制になった。
今の内から慣れておいてね、て言われたけど。
何に慣れるのかな?
そんなことを自問自答をしていると、冒険者ギルドに着いた。
そしてドアを開け中に入った。
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