第9話 報酬

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第9話 報酬

 冒険者ギルドに戻ってきたのは午後だった。  入口に入りテーブルで依頼書に完了のサインをしようしたところ、赤い翼のリーダー、アドレーさんに止められた。 「俺たちは護衛の務めを果たせなかった。それにハイポーションの借りもある。だから今回は未達成で構わない」 「いいえ、十分アドレーさんたちは役立ちました。トロールのことはイレギュラーですから」  そう言うと俺は依頼達成のサインをし受付に渡した。  そして俺が受けたゴブリンの依頼は、俺が討伐したのが2体で討伐部位の右耳を2つ出した。 「ゴブリンですね。2体で2,000円になります」 「あとはトロールの買取をお願いしたいのですが?」 「「「 トロールですか!!少々お待ちください 」」」  その声に周りがざわついた。  すると俺が受付をした時の女性が呼ばれ、担当が代わった。 「トロールを討伐されたとか?そんな近郊に出没するなんて」 「ハグレだったようです」 「ハグレですか!よくご無事で」 「はい、『赤い翼』の皆さんと一緒に倒したのです」 「一緒にですか、そうですか。では討伐部位を出して頂けますか?」 「討伐部位ですか?どこが部位なのか分からないので、そのまま持って来ましたが」 「そのまま持って来た?」 「はい、ここに!」  そう言いながら俺はバッグを叩いた。 「マジック・バッグをお持ちなのですね!では解体場はあちらになるので、そこで出してもらえますか?」 「分かりました」  そう言うと俺は場所を移動し解体場にトロールを出した。 「「「 うっ! 」」」  頭が潰れたトロールを見て、受付のお姉さんは顔をしかめた。 「いったいどうやれば、こんな風に…。では査定が終わるまでお待ちください」  そう言われしばらく待っていると 「エリアス様、お待たせいたしました。査定が終わりました。素材(主に肉)と魔石で合わせて60万円になります」   (60万円か。生きるか死ぬかで60万とは。高いのか安いのかだな) 「ありがとうございます」  俺は60万円を受取り赤い翼のメンバーのもとに戻った。 「トロールの買取り額が60万円なので一人当たり12万円ですね」 「いいや、俺たちはいらない」 「そう言うわけにはいきません。みなさんの防具も損傷しているので、もらって頂かないと困ります」 「悪いな、あんちゃん」 「アドレーさん。あんちゃんではなくエリアスです」 「あァ、悪い。エリアスだったな」  アドレーさんは俺にそういわれ頭を掻いた。  後で聞いたがギルドで受付をした者が、その冒険者の担当になるそうだ。  ギルドも売上が無いと成り立たない。  冒険者の意欲を上げることにより、売上が上がり担当も報酬が出るんだと。  ま、会社だからね。  ちなみに俺の担当はアリッサ さんという人だった。 「じゃ、エリアス君」 「「またな~」」 「なにかあったら遠慮なく、言ってくれよ~」  赤い翼のメンバーと別れ俺は宿に戻った。 「ただいま~!」 「おかえり~!エリアスお兄ちゃん」  アンナちゃんが迎えてくれる。  厨房に行きビルさんと調理担当のマドックさんに、森で採れた山菜やキノコをストレージから出して渡した。 「こんなに採れたのかい?助かるよ」  そしてその夜も店は大繁盛で、お客は山菜やキノコ料理に舌鼓を打つのだった。
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