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料理本を活かして作った料理がテーブルに並んだのは日曜日の夜だった。
昼食の予定だったが、買い出しなどで昼食は外食。
亜貴君の家に戻ったのは午後四時だった。
当初予定していたメニューを突如変更したため、慣れないところはあったが何とか完成した。
「茉莉、料理上手になったね。すごく美味しいよ」
「本当? よかった」
亜貴君と出会った時、私はまだ18歳だった。
その日から私は自分磨きを始め、自信を持って横にいられるようになった20歳の時私は亜貴君に告白した。
亜貴君からの返事は少し遅れてやってきた。
でも期間なんてどうでもよかった。
亜貴君の横にいられるのだから。
そしてやっと磨いた部分を使えるようになった。
「前の私の料理と今だったらどっちがいい?」
少し意地悪をしてみる。
最初の頃、亜貴君は私の味に馴染んでいなかったと思う。
だから最近、私の料理を褒めることが多い。
少しずつ亜貴君の好みに寄せているから。
三年かかっていることは頭の片隅にしまって今を楽しんでいた。
「難しいけど、今だよ。きっと俺好みにしてくれているんだよね?」
亜貴君は鋭いな。と笑いながら彼の顔を眺める。
いつまでこうやって顔を見て微笑んでいられるのだろう。
冷めてしまう時間なんて来なくていい。
今が続けば私は何もいらないから。
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