クルクマ ~あなたの姿に酔いしれる~

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クルクマ ~あなたの姿に酔いしれる~

蒼生さんとドライブデートをしてから一週間は経っていた。 それでも亜貴君には一度も会えていない。 それどころか連絡をとることすら難しい。 最初は嫌われたのか、何か不満があるのか、大きな問題が亜貴君を襲っているのか。 そんなことを真剣に思い悩んだ。 だが今はそんな心配が嘘のように消えて不満に変わっている。 何かあったとしても恋人に一つくらい事情を話すくらいはできるものだと私は思う。 それが仕事のことだとしたら蒼生さんが知っているはずなのに蒼生さんはいつも通りだと言っている。 亜貴君のことを一つも知らない。 近況なんてどうでもいい。 一つ文句を言ってやりたい。 いや、一日不満に付き合ってもらってもいい。 そう思っているはずなのに別れ話だけは考えられなかった。 想い人なら耐えられるのだろうか。 私が未熟なのだろうか。 亜貴君に拾われてから、救われてから亜貴君だけを見てきた。 すぐそばに亜貴君がいたから。 すぐそばにいられるように私が亜貴君のことを追ったから。 だから私は亜貴君しかいない。 でも本当にそうなのかわからない。 だから別れ話ができない。 もし亜貴君を失ったら自分が自分じゃなくなるような気がして結局思いは引きこもる。 カレンダーを見れば明日は日曜日。 もうこの日曜日も見飽きた。 どうせ会ってくれないのはわかっている。 現に返信は来ていない。 今は夜の十時半。 もう返事は返ってこないのだ。 ため息をつきながら携帯を眺めてふと頭によぎる。 それは蒼生さんとの楽しい会話の時間。 もし蒼生さんに今から連絡したら会ってくれるだろうか。 この嫌な気持ちを晴らしてくれるだろうか。 そう思ったら躊躇いなく蒼生さんの連絡先を開いていた。 「今からは迷惑かな……」 時間は遅い。仕事帰りなら疲れていてストレスになる可能性だってある。 ただでさえ同僚の恋人だ。 下手に動いてはいけないという警戒心だってきっと蒼生さんなら持っているはず。 でも甘えたかった。 あの楽しい時間をもう一度味わいたかった。 迷っている指が一つのボタンに触れて止まった。
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