クルクマ ~あなたの姿に酔いしれる~

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伸ばした手を包んだと思えばゆっくり口づける。 それが手だということに少し心が揺れる。 場所はそこじゃない。 そんな言葉がこぼれそうになる。 どうかしてる。 今の私は正気じゃない。 でももうこの時間が狂うほどに欲しい。 ゆっくり近づく顔。 少しずつ服から伝わる熱。 重なればもう何もない。 唇も服も何もかも預ける。 この時間はあなたのものになりたい。 あなたが望む女性になりたい。 素肌の熱がこんなに熱いのはどうしてだろう。 感じたことのない熱。 触れる熱が私を溶かす。 余裕も理性もない二人がただ隠れた何かを探している。 何を探しているの。 もしかしたら蒼生さんはわかっているかもしれない。 わかってなくてもいい。 私が知りたい。 この熱をこの感情をこの感覚を。 言葉にできるものなの? 愛、恋、好意。 どれに分類される? それとももう一つも合っていない? それでもいいや。 今蒼生さんが見ているのは私だから……
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