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引っ越して、学校に行けばもう誰も信じない。
でもその代わりに得たものは偽りの友。
笑って適当に可愛らしくしておけば人がいた。
昔から言われていた。
「瑠華ちゃんは可愛いわ」って。
きっと容姿に恵まれたんだ。
だから偽りでも人は来る。
当然異性もいた。
求めてくる奴なんて何人いたか知らない。
遊びも本気も。
気にしていないから事実を知らない。
高校生活三年間。
面倒だらけ。
しつこい誘いにしつこい共有。
本音を開けば散るくせに。
だから一度だけ試した。
三年間の中で一番長くいた男を。
家を、私を、過去を見せた。
当然のように消えてった。
都合がよかったのは恐ろしくて人に言えないこと。
だから私は壁なく過ごした。
大学になっても変わらない。
同性は私の周りを見れば消えるし、その周りにいる異性も偽りの笑顔で通り過ぎた。
誰とも交わらずに、一人で、ただ日々を耐えた。
あと少しで学生が終わる。
そんな時だった。
心境の変化とでもいうのだろうか、因縁を最後に振り切りたい。
学生という名をもって過去を捨てたい。
私は自由を求めた。
だから一度だけ、一回だけと心に決めてこの街に戻ってきた。
その日が私の、今の私の始まりだ。
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